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春に残業すると社会保険料は増える?


 毎年、今頃の時期になると必ずいただくご相談があります。「『春に残業をたくさんすると、厚生年金の保険料が1年間高くなっちゃうから、気をつけた方がいいよ』と言われたのですが本当でしょうか?」というものです。「どの時期に残業が集中するか」によって、年間の社会保険料負担が変わるなどということが本当にあるのでしょうか?それでは、“春”の残業を少なくすれば“社会保険料”が減って得をするということでしょうか?

 今回は、会社勤めをする皆さんの給料から天引きされる社会保険料が決まる仕組みについて考えてみます。




保険料は実際の給料額を基準に決めない
 サラリーマンやOLの皆さんが支払う厚生年金・健康保険など社会保険の保険料は、給料の額によって変わります。「給料が高い人からは高い保険料が、低い人からは低い保険料が引かれる」というもので、支払能力の違いによって保険料の金額を変える「応能負担」という考え方が採られています。具体的な保険料額は、給料の金額に一定割合の保険料率を掛けることで決定されます。

 しかし、会社が実際に支払う給料の額で計算をするのではなく、事務処理の便宜上、「標準報酬月額」と呼ばれる“仮の給料額”を使用します。たとえば、実際の給料額が「33万円以上35万円未満」の場合には、標準報酬月額は等しく「34万円」と決められ、「34万円」の一定割合が保険料の金額になります。一定範囲の給料額の人たちをひとくくりにして「同じ報酬」と考え、そこに全加入者に共通の保険料率を掛けることで保険料の金額が決まる仕組みになっています。このようにして決められた保険料が、一定期間、毎月の給料から天引きされることになります。

“春”に残業するとなぜ保険料が上がる?
 一般的に、給料の金額はずっと同じではありません。定期昇給や手当の付与などいろいろな要因で変わることになります。そのため、一度決めた標準報酬月額を長く使い続けると、実際に受取っている給料の金額とのズレが大きくなってしまい、本来の給料額には見合わない保険料を引いてしまいかねません。そこで、社会保険では定期的に「標準報酬月額」を見直し、実際の給料額との差が広がり過ぎないように調整する作業が行われます。

 具体的には、保険料算出の根拠となる標準報酬月額を“年に1回”決め直す「定時決定」という作業が行われます。4・5・6月に実際に支払われた給料額をもとに新しい標準報酬月額を決め、その年の9月から1年間使用します。このような仕組みがあるため、4・5・6月に受取る給料が多い場合には、9月から使用される標準報酬月額が高くなり、高くなった報酬に基づいた保険料額がその年の9月から1年間引かれ続けるわけです。「“春”にたくさんの残業をすると、1年間、高い社会保険料を取られ続ける」といわれる理由はここにあります。

給料に見合わない保険料が引かれることも
 1年間を通して残業時間の変動が少ない職場の場合には、4・5・6月の給料の実績で保険料額が決められたとしても、年間を通して、実際に受取る給料額に見合った保険料が天引きされることになります。しかし、月々の残業時間の変動が大きい職場では、4・5・6月の給料の実績で保険料額が決められた結果、実際に受取る給料額に見合わない保険料が引かれるケースも出てきます。

 たとえば、「入退社」「人事異動」などの業務を担当する部署では、春の時期に業務量が増え、残業の影響で4月や5月に受取る給料が多くなるというケースがあります。仮に、この部署の残業が、他の時期にはそれほど多くない場合、残業が多い春の給料をもとに算出した高い保険料が、残業が少なく金額が減った他の月の給料からも引かれてしまうことになります。反対に、普段は残業が多いものの春だけは残業が少ないなどの職場がある場合には、残業代がたくさん支払われている給料からも、4・5・6月の少ない残業時間をもとにした保険料しか引かれないことになります。実際に受取る給料額からみれば少ない保険料負担となるわけです。

高い保険料にもメリットはある
 社会保険料を決める際には、給料が年度の途中で大幅に変わったときのために、1年を待たずして標準報酬月額の見直しを行う「随時改定」という仕組みも用意されています。しかし、このようなイレギュラーの見直しは、「基本給が変わった」「新しい手当がついた」という理由では行われるものの、「残業代が増えた(減った)」という理由では、通常は行われません。そのため、年間を通して残業時間に変動がある職場の場合には、天引きされる保険料が実際の給料額にそぐわないこともあるわけです。

 仮に、残業時間を自分自身でコントロールできるような職場であれば、春の時期の残業時間を抑えることで、9月から1年間、社会保険料を下げることも可能です。その場合には、「手取り収入が増える」というメリットを享受できることになります。ただし、将来もらう年金額は「高い保険料を払った人の方がたくさんもらえる仕組み」になっており、

「春の残業を減らす」=「“現在の保険料負担”が減る」
=「“将来の年金額”も減る」


 という関係があるため、「将来の収入」を考えると高い保険料を払っていた方が得ともいえます。

 現在の厚生年金・健康保険の制度では、月々の残業時間に大きな変動がある場合に、収入の増減を保険料額に反映させる仕組は用意されていません。保険料の上昇には、手取り収入が減るという「短期的なデメリット」と老後の年金額が増えるという「長期的なメリット」の2つの側面があるため、一概に良し悪しを論ずるのは難しいものです。「春は残業を減らそう!」と単純に考えるのは早計かもしれません。


株式会社 住まいと保険と資産管理
CFP・中小企業診断士・社会保険労務士
大須賀 信敬



このお役立ち情報で「春の残業と社会保険料」についての理解が深まりましたか?

※以上は、独立系FP会社 住まいと保険と資産管理に所属するファイナンシャルプランナー
が執筆をして、2010年3月16日にMSNマネーに掲載されたコラムを一部編集したものです。




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