「どこの保険にも加入していないから、どこかの保険に加入しないと…」なんて会話をしたことはありませんか。でも、みなさんが既に加入している保険があることはご存知でしょうか。
保険に加入する前に知っておきたい事、それは「
社会保険制度(しゃかいほけんせいど)」です。
社会保険制度とは国が制度化した相互扶助(そうごふじょ)のしくみの事ですが、ここでは「年金保険制度」と「医療保険制度」についてカンタンにご説明いたしますね。
年金保険制度(ねんきんほけんせいど) 年金保険制度は2階建て年金とも呼ばれています。1階部分が「国民年金保険(基礎年金)」2階部分が「厚生年金保険」となっています。
自営業の方は1階部分の「国民年金(こくみんねんきん)」に加入しています。
会社員の方は、1階部分の「国民年金」と2階部分「厚生年金(こうせいねんきん)」の2つの年金に加入していることになっています。
皆さん、この年金制度はどんな目的で制度化されたかご存知でしょうか。この年金制度は、ある3つの理由で働くことができなくなった場合に、受取ることができることができる保険なのですが、その働けなくなった場合とはどんな事が起きたときでしょう。
年金保険制度3つの保険 ひとつは、老齢により働けなくなった場合に受取ることができる「
老齢年金(ろうれいねんきん)」です。この老齢年金は、60歳代から受取ることができる年金ですが、これまでも様々な問題でメディア等に取り上げられていますのでご存知の方は多いと思います。
では、あと2つはどんな事で働くことができなくなった場合の保険でしょう。
2つ目は障害状態になった場合の保険です。重度の障害を負った場合で働くことが出来なくなった場合、また働くことができたとしても、一定の障害状態になってしまったときには「
障害年金(しょうがいねんきん)」として受取れることができるのです。
そして、3つ目は死亡です。死亡してしまった場合は、その人に生計を維持してもらっていた家族が受取ることができます。残された遺族は、この年金保険を受取りながら生活をしていくことになります。これが「
遺族年金(いぞくねんきん)」です。
それぞれ「受給する要件」を満たしていることが条件ではありますが、
国の年金保険制度は、このように「死亡(遺族)」・「障害」・「老齢」の3に備えた保障がある制度なのです。
医療保険制度(いりょうほけんせいど) 続いて医療保険制度です。会社員の方は、組合管掌健康保険(くみあいかんしょう)や全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、自営業の方は国民健康保険(こくほ)。
このように、健康保険には様々な種類があります。職業や年齢等によって加入している種類は異なってきますが、必ずいずれかの健康保険に加入しています。どの保険に加入しているかは、
現在お手元にある保険証を見て確認してみましょう。
医療保険制度の保障内容 わたしたちは病気やケガで医療機関へ行ったときには医療費の3割負担で治療が受けられています。それは、この医療保険制度に加入しているからなのです。自己負担が3割負担という事は、残りの7割運営者である協会・組合・市区町村などが負担してくれているのです。
更に、この医療保険には「
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)」があります。高額療養費制度という言葉は聞いたことはありますでしょうか。
もし、重い病気などで長期間入院することになった場合は、医療費が高額になってしまいますよね。そのような場合には、一定の金額を超えた部分が払い戻される制度なのです。1ヶ月あたりの自己負担限度額は年齢や収入によっても異なってきますが、
この制度があることによって自己負担額はずいぶん軽減されることになります。
病気やケガの保障だけではなく、介護状態になった場合には「
介護保険制度(かいごほけんせいど)」、出産した場合には「
出産育児一時金(しゅっさんいくじいちじきん)」、病気やケガで働くことができずに報酬額が下がってしまった場合には、「
傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」が給付される制度もあります。
抑えておきたい社会保険の保障内容 会社員の方であれば、毎月のお給与から引去りされている社会保険料。この保険料の中で最もウェイトが高いのは厚生年金保険料です。
この
年金保険料は平成29年までの間、毎年0.354%引き上げられていきます。年金保険料は会社と折半にはなっていますが、受取る報酬額が変らなければ、わたしたちの可処分所得(かしょぶんしょとく)は減ってきます。毎月のお給与から引去りされている社会保険料にはどんな保障がついているにかは、しっかりと抑えておきたいところではないでしょうか。
自助努力で補う保険 いかがでしたでしょうか。社会保障制度である「年金保険制度」と「医療保険制度」についてカンタンにご説明いたしました。年齢・職業・地域等によって加入している社会保険は異なりますし、保障内容も異なってきます。
どこかの保険に加入する前は、今のご自分が加入している「社会保険」はどれに当てはまるのか、そして保障内容はどのようになっているのかを知るところからスタートしてみましょう。そして、
不足している部分を自助努力で補えるような保険に加入していきましょう。
株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 木村 美紀子