住宅ローンを借りる人の悩みに、どういうローンを借りるべきかというものがあります。
住宅は人生で最大の買い物と呼ばれますが、選択する住宅ローン次第でその買い物の値段が大きく変わります。場合によっては何百万円もの差が出る場合もあるでしょう。そのため、どのような住宅ローンを借りることが良いのかは非常に重要かつ大きなポイントになります。
住宅ローン選択のポイント
その際、みなさんが一番重要視しているのは金利でしょう。一般的に住宅ローンの借入額は何千万円となりますから、ちょっとした金利の差で利息負担額が大きく変わります。借入を検討している方が、金利水準に敏感になるのもうなずける話です。
金利は大きく分けると二種類です。借入した時の金利が返済し終わるまで変わらない固定金利と、半年に一度金利の見直しがされる変動金利です。
固定金利と変動金利の金利を比較した場合、固定金利の方が高く設定されています。 多くの方が悩むのは、この固定金利と変動金利のどちらを選ぶ方が良いのかということです。固定金利を選べば、返済が終了するまで金利が変わらず、返済額の見通しが明確になりますが、変動金利に比べると金利水準が高いため、利息負担額が大きくなってしまいます。一方、変動金利は金利水準が固定金利に比べ低いため、利息負担額が少なく、元本充当する割合も高くなり、かつ優遇金利の適用により、より低い金利を享受することもできますが、半年に一度金利が見直されるので、将来金利が上がっていった時に返済額の負担が増す可能性もあります。
こうしたことから、多くの人は自分にとってはどちらを選ぶのが得なのかで迷ってしまうのです。しかしながら、どちらが得なのかを考えている限り結論はでません。
率直に言ってしまえば、どちらが得なのかは借入をする時点ではわからないからです。金利の動向が将来どうなるかなど、誰にもわからないのです。10年20年30年と経って、後から振り返ってみてはじめて、自分の選択したものが結果として得だったかどうかがわかるのです。
ゼロ金利解除から今まではどちらが得だった? 2006年7月14日にゼロ金利政策が解除され、無担保コール翌日物の金利が0%から0.25%に引き上げられました。その頃盛んに言われていたことは、これから住宅ローンの金利が確実に上がる、借入をするならば長期固定金利にするのが良いというアドバイスでした。
2006年9月の東京三菱UFJ銀行の固定金利は3.220%、変動金利(店頭金利)は2.375%でした。 3,000万円を固定金利で35年間借入をした場合、月々の返済額は119,170円、総利息20,051,311円、総支払額50,051,311円です。 同条件で変動金利で借入した場合、月々の返済額は109,269円、総利息17,519,860円、総支払額47,519,860円です。変動金利は2007年10月から2.875%に上がっているので、それも反映しています。
2006年9月から2007年11月までの15ヶ月間を比較してみましょう。
【固定金利】 15ヵ月分の返済額 1,787,547円 利息返済額 1,196,477円 元本充当額 591,070円
【変動金利】 15ヵ月分の返済額 1,647,030円 利息返済額 986,511円 元本充当額 660,519円
利息返済額は209,966円、固定金利の方が多いです。 元本充当額は 69,449円、変動金利の方が多いです。
つまり、ゼロ金利解除直後の金利が上がると言われていた時期に、変動金利で借入をしていた方が、少なくとも2007年11月時点までは、得だったということになります。もちろん、返済が終了する34年後までこれが続くかどうかは分かりません。
今後金利が上昇し続けていった場合、固定金利の方が得だったということになる可能性も十分にあります。固定金利と変動金利の得か損かは後からしかわかりません。
結論としては このように見てみると、住宅ローンを借入する場合、どういうローンを借りるのが得なのかという観点から借入を検討しても、あまり意味がありません。
それよりも、それぞれのライフスタイル、繰上返済計画、資産形成、金利上昇時の対策などを考えた上で、どのような住宅ローンが自分には合っているのかを検討すべきではないでしょうか。
株式会社 住まいと保険と資産管理
ファイナンシャルプランナー 佐瀬 貴之
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