【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● CMでわかる!企業の「金銭感覚」
◇ 10/31 ◇ 鹿野さち子(AFP)

 企業の倒産が続くこの頃、先日エステ業界第3位の「エステdeミロード」を経営する 「RBM」という会社が倒産しました。ワイドショーで、すでに高額の契約をした人々 がインタビューを受けていたのですが、その中でこんな声を聞きました。

「・・・派手にCMとかもやってるから大丈夫だと思っていたのに・・・」

 「MAX」を使ったCMは私の記憶にも鮮明で、4人のナイスバディにあこがれたもの でした。「MAX」以前にもいろいろな女優さんを使っていました。

 CMは商品や企業のイメージを左右するものとしてとても重要です。しかしCM にお金をかけられるからといって健全な経営が行われているとは限らないと言うこと を、一般に知らしめた今回の倒産でした。

 金融業界でも中堅保険会社の破綻が相次いでいます。

 しかし一方で依然として派手なCMを流す大手保険会社もあります。この火曜コラム の第1回でも話題になったのですが、明治生命と第一生命のCM、おそらくそれぞれの タレントと1年以上の契約をしていたらしく、今だにとんねるず(曲は野猿)と田中麗 奈&鹿賀丈史の新シリーズを放映し続けています。

 確かにイメージは「とんねるずの明治生命」「田中麗奈の第一生命」と定着したのか も知れませんがCMの商品内容をよく見ると従来の「定期付き終身保険」をほんの少し お化粧直しした程度の保険です。(高原育代さんの 7月11日火曜コラム をご覧ください)

 広告会社の人に聞くと、とんねるずのCM契約料は、年間で推定1億と言います。

 またナイト役をしている田中麗奈ちゃんは旬の女優さんということで約3千万と言う ことです。それに一瞬しか登場しない王様役の鹿賀丈史にも同じくらいはかかっていそ う。もちろんセットや衣装やその他もろもろにもかなりのお金がかかっていることで しょう。

 各保険会社が毎年抱え続けている「逆ざや」の額からすると1億そこらなんて雀の涙 かもしれませんが、今、日本の保険業界全体がどんな状況かを考えると、CMに超有名 タレントを使ってゴールデンタイムに宣伝するなんていうのはすでに時代錯誤だと言う ことをこれらの会社は気づいているのでしょうか? 

 とりわけ「相互会社」と言う形態をとる保険会社の場合、「保険契約者」が「出資 者」と言うことになりますのでCMにかかる多額の費用は全て契約者の支払う保険料の うち、本来の死亡や病気の時などの保障に回される分(純保険料)をのぞいた「付加保 険料」からまかなわれています。石橋さんや麗奈ちゃんへのギャラもこの中から支払わ れるのです。

 契約者がどれだけの「付加保険料」を支払うかと言うことは契約した時点で、保険種 類や加入者の年齢によってあらかじめ計算されているもの。この低金利の時代、契約者 のことを本当に考えてくれている会社なら宣伝広告費を含む「事業費」を切りつめて営 業し、保険料を1円でも安くすると思います。

 要するに商品の内容と価格(保険料)を明確に表示していることろが信頼できる会社 である確率が高いということになるのではないでしょうか。

 保険会社に限らず、「CMにむやみにお金をかけていそうな企業」は要注意というこ と、いろいろな経験から一般消費者も何となく気づきはじめていると思います。

しかし、契約者を「いつまでもイメージに影響されて商品を学ばない人たち」だと 思っているのか、最近やたらと「石橋貴明がバットを振るだけのあのCM」が目につい たのでこのネタを思いつきました。(離婚後イメージ悪い石橋貴明がなぜ生命保険なの か理解できない! これが滝沢くんだったら喜んで見ていたでしょうが・・・。)

 私の場合、生まれながらのミーハー魂でCMチェックに走るのですが、このような視 点で広告を見ることも自己責任時代の消費者にとって、時にはとても有効なことなのか も知れません。