【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 新商品は、イメージより「中身」を見よう !
◇ 7/11 ◇ 高原育代(AFP)

はじめまして、主婦歴9年、FPとしては1年余りのヒヨッコ、高原育代と申します。
夫と、小2の息子、3歳の娘の4人で、現在は京都の北の端、丹後半島に暮らしています。

主婦としてのあれこれに追われつつ、毎日が過ぎていきます。そんな中で、FPの勉強をしたおかげで目にとまるようになったことを、いろいろと取りあげていくつもりです。どうぞよろしくお願いします。

さて、最近は書店へ行くと「株」や「投信」など投資に関する本や雑誌が、目につくところにたくさん積んであるのを見かけます。夏のボーナスをどう殖やそう、みなさんいろいろと算段されていることでしょう。

それでは、投信がブームのようになる前、書店の同じコーナーにはどんなテーマのものが積まれていたか記憶にあります?

景気に明るさがまだ見えない、と新聞なんかでいわれていたときには、家計は守りの体制をとっていました。守るためには、支出を減らす、それも毎月一定の金額が出ていく費用の代表が「生命保険」。というわけで、生命保険の見直しをテーマにした本屋や雑誌がたくさん並んでいました。

みなさんも一度は「生命保険の見直し」について書かれているものを読まれたことがないでしょうか。そして、それを参考に、実際見直しを実行された方もあるでしょう。

とくに、朝日新聞が、「転換」をやり玉にあげて、国内大手生保会社の批判キャンペーンを繰り広げたことで、「もう転換にはだまされないゾ」「定期付終身保険というのはどうも具合のいい保険じゃないんだ」という意識が一般に広まったのではないでしょうか。


※ 「転換」については、ご存知ですよね。
ひとことで言えば、保険についての買い換え。よく例えられるのは、クルマの買い換え。今乗っているクルマを下取りに出して、新しいクルマに買い換えるのと同じようなものというわけです。ただし、クルマの買い換えなら、確実に今のクルマよりもよいものが手に入るはず。ところが、保険の「転換」は、よく見ないと新しい保険の方が今の保険よりも値打ちが下がるものの場合が…。そんなの、わかっていたら誰も買い換えるはずなんてありません。保険会社側が、買い換え後のデメリットをきちんと説明せずに、転換を押し進めたことが、批判の対象となったわけです。


そして、みんなが「見直し、見直し」と叫ぶようになり、国内大手生保会社では、解約が相次いだ時がありました。それで、しばらく生保会社はなりをひそめていたと思ったら、最近になって、なんだかよくコマーシャルを見かけませんか。

テレビや新聞の広告で、ひんぱんに見かける生保のコマーシャルといえば、何が頭に思い浮かびますか。

私は「とんねるず」に「田中麗奈ちゃん」ですね。みなさんは、どうでしょうか。

でも、あのコマーシャルは頭に残っていても、どんな商品なのか、全くわからないと思うのは、私だけでしょうか。

テレビで、憲さんが「評判、いいらしいネ!」なんて言えば、「ふぅん、そうなんだ」と、つい何となくいいイメージが残ります。麗奈ちゃんがカッコよく出てきて、「保険料はいただきません!」なんて、大きな字で画面いっぱいに書かれると、「へぇ、そりゃ得だわ」と思ってしまいます。

でも、それでいいのでしょうか。コマーシャルというものは、いいところしか宣伝しないものですよね。本来、生命保険のような「商品」は、細かい部分までよく検討して自分に合うか、必要かを理解して「買う」べきものです。テレビや新聞のイメージ広告だけでは、何もわかるはずがありません。

こういう生保の新商品には「業界初」とか「まったく新しい保険」という、今までのしくみとはちがう「新しさ」を全面に打ち出しています。

「とんねるず」の「明治生命 ライフアカウント L.A.」の本名は、「3年ごと利差配当付利率変動型積立終身保険」といいます。「田中麗奈ちゃん」の「第一生命 堂堂人生」の本名は、「5年ごと利差配当付更新型終身移行保険」といいます。

たしかに、「新しい」保険のようですね。
では、その新しさは私たち消費者にとって、どういう意味をもつのでしょうか。

「生保見直しブーム」で、私たちはやっと、「定期付終身保険」がどういうしくみなのかを理解することができました。「転換」することに、どんなデメリットがあるのかを知りました。

買う側が、今まで知らないでいたしくみを理解し始めた。もう「定期付終身」という名前の保険はどうも売りにくい状況になってきたのでしょう。

売る側が、新しい商品を販売したということは、買う側の私たちも、もう一歩勉強してその新しさをきちんと理解しなければいけないということなのです。ただ「新しい」ということにだけ目を奪われていてはダメなのです。

そういう気持ちさえあれば、そんなに難しいことではありません。新しい保険といっても、しくみの基本は同じです。

算数のテストを思い出してみて下さい。見たことのない応用問題が出されても、あせってはいけません。見たことがないと思っても、よく見て、一つ一つ分解してみたら、自分が知っている公式に当てはめることができる、そんな場合がありましたよね。

生命保険も同じです。まず、かっこいいネーミングにごまかされずに、「本名」で見て正体を知る。
それが長い名前でも、一つ一つ分解して見ていけば、どこが新しくて、どこが変わっていないか、わかるはず。

あなたのまわりの新商品。今までとどこがちがって、どこが変わらないのか、新しさは自分に必要なものなのか、ちょっと点検してみませんか。