【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● CMのイメージに乗せられないで…
◇ 11/21 ◇ 高原育代(AFP)

 先日17日の朝日新聞家庭面に「野菜ジュース 過信は禁物」という記事が載っている のを見つけました。

 最近の健康志向を追い風に、「一日に必要な緑黄色野菜がとれる」と表示している野 菜ジュースが人気を集めているようです。しかし、国民生活センター (http://www.kokusen.go.jp/)が分析したところ、その表示が大げさだとの結果が出た というのです。

 調査の対象になったのは、8社10品目のジュースや、4社4品目の粉末や錠剤タイ プの加工食品。厚生省が打ち出した、成人1日あたりの摂取目標「緑黄色野菜120g」 をもとに、平均的な摂取量の実態とあわせた基準値を割り出し、ジュースなどの成分 と比較。

 結果は、ジュースのビタミンCや鉄分については、基準の3割に満たない商品が半数 超。また、食物繊維量については、基準の半分以下のものが8品目だったというこ と。

 たまたま、この記事を読んだ前日、料理にカゴメの野菜ジュースを使用していたのを 思い出し、台所にある空き缶の表示をマジマジと見直してみることにしました。

 すると、書いてある、書いてある。「…カゴメ野菜ジュースで、緑黄色野菜の1日必 要量150gを十分に補給できます」と、アピールされています。

 同センターが、今回問題として指摘しているのは、このような「ジュースが緑黄色野 菜を食べる代わりになるかのような表示」です。さらに、TVコマーシャルの中でも、 野菜を食べる映像を流し、同じ効果があるかのようなイメージをうえつけようとして いるという点についても、メーカー側に是正を求めたようです。

 TVコマーシャルで流されている映像や、商品に書かれている表示には、私たち消費者 はとりあえず信用をおいています。

 それはなぜなんでしょう。
 “だれもが知っている有名な企業”だから?

 最近、そのだれもが知っている有名な企業に裏切られるような大事件が起こって、し ばしば問題になりますよね。身近な食品のY社や、車のM社…。

 一消費者の立場では、「本当に表示どおりの成分なのかしら」と思ってもいちいち、 実験してたしかめたりすることはできません。

 だからこそ、有名企業=ブランドとして信用をおいて、毎日口にするものや、命を預 けるものの購入し、消費しているのです。

 あらためて考えてみると、ここに大きな落とし穴があることに気づきます。

 「企業」は、会社の収益をあげることを目的としているのです。
もちろん、それだけを目的としてしまって、消費者のことを考えない裏切り行為は、 結局は信頼を失い、会社のブランドイメージは地におちてしまいます。

 でも、ある一定の範囲の中では、同じような他社の製品に負けないための競争が繰り 返されています。

 TVコマーシャルは、その競争を勝ちぬく企業の手段のひとつなのです。

 ということは、必ずしもコマーシャルが伝えている映像は、事実ばかりであるとはな いということです。

 今回の野菜ジュース等については、国民生活センターという中立的な立場の組織が、 「コマーシャルや表示などと、事実との差がちょっと大きいんじゃないの?」と歯止 めをかける形になったわけですが、まだまだ他にもそういうものがあるかもしれませ ん。

 たとえば、豆腐の表示。
 「国産大豆使用」と書かれた豆腐を見れば、消費者としては、「国産大豆だけで作っ た豆腐」と受けとるのがふつうだと思うのですが、実は、メーカーの中には「国産大 豆を一割でも使っていれば、表示にウソはない」という会社が少なくないそうです。

 企業の中にこういった態度がある以上、私たち消費者にできることは、どんなことで しょうか。

 何が事実で、どこからが宣伝やイメージによる強調なのかという、「うたがい」の目 を育てていくことが必要なのではないでしょうか。

 ちょうどそんな折、「エコナ」という料理用の油のコマーシャルがテレビに流れてい ました。
 「食べた脂肪分が胃の中で燃える…(ので、エコナを使えば太らない)」というイメー ジのCM映像に、小学2年生の息子がすかさず、「これ、ウソゃんね」とツッコミをい れました。親バカながら、内心、「オッ、なかなかするどいゃん」と感心したのです が…。

 ただし、大のおきにいりのアニメ番組がはじまると、やっぱりタダの2年生坊主で す。間に流れる数々のおもちゃのコマーシャル。大人から見れば、「なんでこんなも のが欲しいのかなぁ」というものに、子どもは「今度の誕生日には、やっぱりコレ 買ってもらおう!」と半年も先のことを考えてすっかりハマりこんでおります。

 つまり、大人も子どもも、興味があって、期待がかかりすぎるものには、イメージで ころっとやられてしまうわけですね。

 「この靴をはけば、君もヒーローだ!」なんて、キャラクターもののシューズのCMな ら、大人にはわかりやすく、ころっといくことはないはずです。

 「この化粧品をつかえば、あなたも今日からモデルさん…」「これに投資すれば、も うかります…」

 大人のものも、これぐらい超わかりやすいCMならいいのですが、最近のCMは、イ メージ先行型が多いので、ご注意を。