【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● ビジネスカジュアルの良し悪し
◇ 11/14 ◇ 栄田育子(CFP)

 栄田が勤める会社は今月から "ビジネスカジュアル" での勤務がOKに なりました。最近こう言う企業が増えたように思います。読者の中にも ご主人や自分が勤務する会社がビジネスカジュアルOKになったとか、転 職した会社がカジュアルでOKだったという方は多いのではないでしょう か?

 "ビジネスカジュアル" の定義はあいまいで、例えば栄田の会社はTシ ャツ&ジーンズは禁止ですが、同じような仕事をしている夫の会社はTシ ャツ&ジーンズでもOK。ポロシャツ&チノパンとTシャツ&ジーンズの違い がどこにあるのか疑問を挟みたくなりますが、ともあれ、普段着で出勤 できるというのは、ありがたいことも多いです。

 例えば、スーツを着るサラリーマンなら必須のYシャツの洗濯。クリ ーニングに出せば簡単ですが、当然お金はかかるので、自宅で洗濯する と当然アイロンかけが必要です。最近は形状記憶という便利なものもた くさん売られていますので、少し楽になったかもしれません。

 それから、スーツのクリーニング代。皆さん、良くご存知のことです が、これは結構バカになりません。しかし普段着なら洗濯は自分でジャ ブジャブ出来ます。

 そして、何よりも普段着はスーツなどの仕事服に比べると単価が安い ので、お財布にも優しいですよね。もう一つだけ付け加えると、帰宅し たら、着替えをせずにそのまま夕食の支度に取りかかれるので、わずか ですが時間の節約にもなります。

 こんな風に、いいことだらけの "ビジネスカジュアル"。
 もっと普及したほうが、主婦にとっては有りがたいように思えますが、 景気を考えるといかがなものかと思うのです。

 最近小売業の売上げはあまり伸びていません。  特に閑古鳥が鳴いているのは、紳士服です。
 たまに夫といっしょにショッピングに出かけて、百貨店の紳士服売り 場へ行くと、店員のほうが多いのではないかとさえ思えます。

 百貨店の紳士服売り場で多くの面積を占めるのは、こんなご時世にな ってもいまだにスーツです。なぜでしょう?

 おそらく、スーツは紳士服の中で一番儲けが大きい商品だからです。  婦人服に比べてデザインはかなり少ないですから、凝るのは素材ぐら い。色のバリエーションも婦人服より少ないことを考えると、原価は売 値よりかなり安いと思うのです。

 したがって、百貨店にとってはスーツが売れてくれるととてもありが たいわけですが、不況で買い控えされたことに加えて、ビジネスカジュ アルが浸透して、ますます売れなくなったのではないかと想像していま す。百貨店にとってはダブルパンチを食らったようなものですね。

 スーツが必要なくなったからと、カジュアルウェアを百貨店で買うか と言えば、答えはNoではないでしょうか?

 みんながみんなではないでしょうけど、カジュアルウェアならユニク ロなどの格安カジュアルウェアショップで十分だと思う人が多いだろう と思います。

 みんなが「安いもので十分」と思い始めると、支出が減りますから、 個人消費が伸びないと言う結果になります。景気の回復には個人消費の 伸びが必要だと思っている専門家は多いようですが、どうやら状況は反 対に向かっているようですから、結果として日本の景気回復はまだ先に なってしまいそうだと言えます。

 らくちんで手間要らずのビジネスカジュアルも、見方を変えると手放 しでは喜べないと思います。でも、今後も普及していくことでしょう。

 あなたは普及に賛成ですか? 反対ですか?