【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● ひと手間は付加価値だ
◇ 6/12 ◇ 栄田育子(CFP)

 栄田は、ある中華料理レストランでテイクアウトできるマンゴープリンが大好 きです。マンゴーの果肉をたっぷり使っていて、しかもクリーミー。香港で生活 したことがある友人曰く
 「香港で食べれるマンゴープリンと一緒」
と太鼓判を押すほどのおいしさです。しかも、その味を出すにはちょっと手に入 りにくい材料が必要なのだとか。

 このおいしいマンゴープリンを、この店では250円で買えます。クオリティを 考えるとこの価格はリーズナブルなのでよく買うのですが、先日このレストラン の店内でランチを食べようとしたときメニューを見て目が飛び出そうになりまし た。

 量が違うのかもしれませんが、メニューに書かれていたマンゴープリンの値段 はなんと800円。しかもテイクアウトなら消費税は込みですが、レストラン内で 食べると消費税が加算されます。きれいに盛り付けてかっこいいお兄さんが、席 まで持ってきてくれることを考えても3倍以上という値段はびっくりです。

 違う日に別の店で、似たような経験をしました。
 その店はある居酒屋さんだったのですが、さぁそろそろシメの一品(ひとしな) にと、お茶漬けでも頼もうかとしていたときにメニューを見ていてびっくり。

 「チキンラーメン 550円」という文字があったのです。
 言うまでも無く "あの" チキンラーメンです。100円ぐらいで売られているあ のインスタントラーメンを調理(といっても大した手間だとは思えない)して 出すだけが、550円です。

 しかし、友人が頼んだそのチキンラーメンを一口食べて、「おいしい」と思い ました。550円出して食べる価値が無いわけではなかったのです。

 この二つの話に共通して使える言葉があります。
 「付加価値」です。

 マンゴープリンもチキンラーメンも、ただそれだけでは大した価値ではないの に、人が手を加えることによって価値を上げ、価格を上げてもお客さんが買って くれるものにしています。しかも、大げさに手を加えているわけではありません。 心をこめて料理したり、給仕しているだけです。つまり、人間の行動のみが「付 加」されたものなのです。ひと手間加えるだけで、ありふれたものを立派なビジ ネス手段にしているこの例を見逃す手はありません。

 実際、我々の生活に参考になることは多いと思います。
 例えば、安いお米でも丁寧に研ぐことでおいしく炊き上げることができたり、 たった1枚の布でも使い方次第で部屋を美しく見せてくれることがあります。

 人間の行動による付加価値は、我々の生活を豊かに感じさせてくれるものな のです。デフレといわれる昨今、「節約節約」とつい縮こまった生活をしがち ですが、節約の結果もちょっと手を加えるだけで印象をがらりと変えることが 出来ます。

 今晩時間が無くて、お惣菜売り場の天ぷらやフライを買ってもかまいません。 でもそれにひと手間加えましょう。千切りキャベツをつけるだけでもいいし、天 丼にするのもかまいません。お味噌汁だけ丁寧に作るというのでもいいとおもい ます。

 あなたによる「付加価値」はきっと家族の笑顔を呼ぶはずです。
 言いかえれば「付加価値」を付ける手段をたくさん持っている主婦は家族円満 の秘訣を持っていることになるのかもしれません。