【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● ガソリンvsアルコール系燃料
◇ 6/05 ◇ 深川悦子(AFP)

 ある日の職場での会話。

 友人:「前な、めっちゃアルコール度数の高いお酒をガソリン の代わりに車に入れたら走ってん(笑)」
 私  :「・・・。よくまぁそれで車が壊れへんかったね。」
 友人:「ええねん、別に。壊れてもええ車やから。」

 私からすれば、”壊れてもええ車”という彼の発言にも驚い たのですが、それより本当にお酒を入れて車を走らせたとい う彼の行動に脱帽してしまいました。 私だったら、そんなこと絶対にできない・・・。車が壊れた ら嫌だし、だいたいお酒自体、ガソリンより高いじゃないで すか(笑)。

 さて、この突飛押しもない会話の最中に私は一つ思い出した 話がありました。 それは、ガイアックスなどに代表される「アルコール系燃料」 のことです。

 そもそも、このアルコール系燃料とは、ガソリンとは違い天 然ガスをベースにした新燃料のことを指しています。ガソリ ンと違うということは、当然のことながら揮発油税など(6/ 1分金曜コラムを参照してください。 http://www.mylifenavi.net/fri_column10601.html) はかかってこないわけで、ガソリン よりも低価格で購入することができる燃料なのです。

 しかも、この燃料、ガソリンとは違いハイブリッドのような ハイテクを使って排気ガスのクリーン化に取り組まなくても 排気ガスがクリーンというのがうたい文句なのです。 環境問題と騒がれている世の中では、【安い】【環境に優し い】というこの燃料は消費者からの感心も高いようです。

 ただ、消費者の感心が高くても見る方が変われば表現も変わ るわけで、環境庁などがまとめた報告によると、

 「一酸化炭素や炭化水素の排出量はガソリンよりも少ないが、 窒素酸化物やアルデヒド類の排出量はは悪化する傾向を示した」

 と報告されています。もしかすると、これは現在の自動車メ ーカーの車の作り方なども関係しているのかもしれませんの で、これらを改善する触媒などを生産すれば解決する問題か もしれませんが、今のところアルコール系燃料は、石油業界 や政府機関などからはひややかな評価を受けていることは否 定できません。

 それでは、なぜ消費者が良しとしているものに対して、企業 や政府などが違う対応をとるのでしょうか?

 まず、自動車にかかる燃料はガソリンや軽油など税金がかか っています。しかし、アルコール系燃料には基本的には税金 がかからない成分で作られています。それでは、どちらが不 利か。当然のことながら、税金がかかっている方が値段が割 高になってしまいますよね。これでは、成分は違えども同じ ような燃料を扱う市場にとって不公平がでてしまいます。

 安くて環境に優しい燃料となれば、消費者が飛びつくのは当 然のこと。

 しかし、そこに脅威を感じている石油業界は必然的に圧力を かけざるを得ないのかもしれません。それに、税金面から見 ると、政府も今まで得ていたガソリン税や軽油税などの収入 が減る可能性があるのでここで規制をかけて新たに税金を取 りたいところです。

 でも、市場の原理から考えてみてください。 現在、アルコール系燃料は国内で生産されていません。それ は、石油業界などの圧力により、国内に生産拠点を置くこと ができないというようにいわれています。そして、現在は海 外にその生産拠点をおき輸入してから国内で販売しています。 そうなると、輸送費なども莫大にかかってくるので、税金を かける前にすでに値段が高くなってしまっているというもの です。
市場の原理からいうならば、税金関係の問題を解決する前に、 国内で生産できる拠点を作れるような措置をとってからでは ないと、税金がかかるかからないなどの不平をいえないよう に思います。

 現在、国では環境対策車に対して、税制面で優遇処置を執る などして、環境問題に取り組んでいるというアピールを行っ ていますが、アルコール系燃料が本当に環境にやさしい燃料 なのであれば規制をかけるというのはちょっと矛盾を感じて しまいます。 私としては、アルコール系燃料を無税にするのではなく課税 するのは賛成です。しかし、圧力のない平等な位置からの競 争があることが大前提です。
この双方の不平を是正するために、平等な観点から、そして、 アルコール系燃料が本当の意味で環境にやさしい燃料となる ために、今後、自動車メーカーや石油業界、そして、政界な どがどのような動きを見せるのかに注目していきたいところ です。


*ガイアックス http://www.gaiaenergy.com/index.html
*環境省報告 http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=2478