【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 「どんぶり勘定」のススメ
◇ 5/29 ◇ 鹿野さち子(AFP)

世間では「激安牛丼ブーム」がコメの消費を押し上げているとか。

 「どんぶり」はご飯とおかずがドッキングした手軽な日本食として特に若 者に受けているようです。今回はそれにちなんでみなさんの生活に取り入れ ていただきたい「どんぶり勘定」をご紹介します。

 「○○さんはどんぶり勘定なんだから・・・」お金を気前よく使う人をこ んな風に言う場合があります。私がおすすめする「どんぶり勘定」も「大き な入れ物にいろんな種類のものをごちゃ混ぜして、全体を見る」「細かいこ とには気にしない」という意味での「どんぶり」です。

 <おすすめ その1 イベント費のどんぶり勘定>

 みなさんのお宅では家計簿つけていますか? いつどのような使い道にい くら使ったか。毎日つけるのって結構大変。毎年新しい家計簿を買って1月 で「THE END」あとは真っ白・・・という人もいるのではないでしょうか。

 家計簿が続かない事例として「イベントの時に領収証がない細かい取引が 続き、そのままわからなくなりずるずる記入をさぼってしまう。」という話 を聞いたことがあります。 例えば「今月実家に帰って結構遊んだ」とか 「家族旅行をして細かいお金をいっぱい使ってしまった」という場合です。

 旅行先で電卓や家計簿広げてぱちぱち計算するのも何かイヤです。実家に 来てまでお金の計算するのか? と義父母にいやがられるかも知れません。 そういうときのために「どんぶり」を用意するのです。

 今日は旅行という日はまず全日程の予算を立てます。1泊2日で宿泊料は 別で3万円とか・・・。その予算を「どんぶり」の中に入れます。

 本当のどんぶりだと割れてしまう(あたりまえ)ので「普段とはちがう財 布」を用意してその3万円(出来れば何枚かは千円札に崩して)入れてしま うのです。そうしてジュースを買う、拝観料を払う、高速代、動物のえさ 代、アイスクリーム代・・・全てこの「どんぶり」の中から出すのです。

 そして最終日、うちに帰ったら計算します。
 3万円− 「どんぶり」の中に残ったお金 = 使ったお金

 この2日で使ったお金はいくらだった・・・とわかるわけです。 使ったお金の合計は「娯楽・教養費」としてまとめて記入しましょう。 外食、アイスクリームはお腹に入ったから食費じゃないか? そんなこと は気にしない・・・。それが「どんぶり勘定」なのです。
 
 <おすすめ その2 資産運用のどんぶり勘定>

 今ここに10年前の定額貯金が満期になったとします。 当分は使う予定のないお金。子どもの学資になるかも知れないし、そのま ま使わないで退職後の生活資金になるかも知れない。

 しかし今の時代、何に預ければいいか? ホントに悩んでしまいますよ ね。「郵貯のあとも郵貯・・・」なんていうCMもやっていますが、定額貯 金に1年預けても利回り0.06%なんてまったく魅力のない金利です。

 しかし投資信託や株は資産が減るかも知れないし、外貨預金も円高になれ ば目減りする・・・。一時的にしても「目減りする」ということがイヤ。 やっぱり0.06%で甘んじるしかないのかしら? そうやってに悩んでいる人 も多いのではないでしょうか?

 そんな方におすすめなのは資産を何種類かに分けてどんぶりの中に入れる ことです。決して白いご飯だけを盛ってはいけません。必ずご飯とおかず、 時にはたくあんや生姜を組み合わせるのです。

 具体的には「国債や預貯金」、「社債」、「株式」、「外国債券」など 「違った値動きのする金融商品を組み合わせる」ということです。どんぶり の中で肉と野菜、ご飯とつゆがバランスよく合わさるように、お互いの金融 商品の特性がうまく調和すると「リスクを押さえて全体のリターンを高める 効果」があるのです。専門的にはポートフォリオ効果といいます。

 「どんぶり勘定」ですからどの商品が年利何%でまわったということはい ちいち気にしてはいけません。何年か後のトータルで、例えば定額貯金より も利回りが良ければいいのではないでしょうか。リスクのある商品を保有し ていてもずいぶん気分がラクになるはずです。

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 きっちりした性格の人には向きませんが、私のようにおおざっぱな人には この2つの「どんぶり勘定」ぜひ生活の参考にしていただきたいと思いま す。「どんぶり勘定」も悪いことじゃないんですよ!