【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 21世紀型スーパータンス預金(?)
◇ 4/24 ◇ 鹿野さち子(AFP)

 みなさんの財布に今、2千円札は何枚入っていますか?

 西暦2千年にちなんで2千円札が発行され始めたのは昨年の7月19日 のこと。かれこれ9ヶ月になります。しかし私が手にしたのは1度だけ。 12月に美容院に行った時お釣りにもらいました。「わぁ・・・2千円札 頂くの初めてです!!」というとオーナーは「こどものお年玉にいいとお 客さんからリクエストされるので用意しているんですよ。」と言っていま した。(その2千円札、次の日早速こどもの給食費となってしまいました。)

 そもそも2千円札は日本で42年ぶりの新額面紙幣。「記念紙幣」にし ようという案もあったのですが日銀の強い要望で「記念」ではなく「恒久 紙幣」になったということです。それにしても故小渕首相が「2千円札を 発行します」と言った時にみなさん「ジョーダン?」と耳を疑ったもので した。

 発行間近の夏にはスーパーやデパートが「2千円均一セール」をしたり して盛り上げようとしていました。「デザインがとてもきれいだよ。」と か「自動販売機でも使えるようになります」などという話もありました。 しかしふたを開けてみるとやはり不人気。

 これでは天国の小渕さんも浮かばれない・・・と日銀が「2千円札を 使って下さ〜い。両替しますよ〜」とキャンペーンをして少しは出回った 時期もありました。

 しかし「通貨」というものは世間の人から認められて初めてお金として の存在価値を獲得できるもの。「ATMに入らなぁい!」とか「なんかお金ら しくなぁい!」と言われているうちは出回らせようったってムリな話。

 ということで、今では、すっかり忘れられた存在。ウワサによると日銀の 金庫の中には2千円札の在庫が約6億枚あるとか。

 さて2千円札が不人気な理由、幾つか考えられると思います。まずは物 理的な問題。「お店のレジスターに入れる場所がない」「千円札と間違っ てしまう」「自動販売機や券売機がまだ対応していない」などです。

 あなたがお店だったらわざわざレジスターを2千円置き場のあるタイプ に買い換えますか? 景気の良い時期なら設備を最新のものに買い換える こともバンバンできたんでしょうが今どきそんな余裕のある小売店は珍し いでしょう。まあこのへんは時間が経って買い換えが進めばなんとか2千 円札さんに追い風も吹くのでは? とも考えられます。

 しかし残念ながら「2千円札の普及」を絶望的にするものの存在があり ます。それは「カード」であり「電子マネー」です。最近ではJRの窓口 でもクレジットカードが使えるようになりましたし、ちょっとした電気製 品なんかもインターネット通販でいとも簡単に手に入ってしまいます。

 また「デビットカード」で買えるお店もここ最近めっきり増えました。 それに加えて携帯電話での電子マネーが普及すれば「紙幣」のみならず 「カード」さえいらなくなるのです。

 鹿野家でも最近は1ヶ月の生活費、給料日にごっそり下ろさなくても光 熱費は自動引き落としだし、行きつけのスーパーでも「食料品はサインい らず」でカード決済ができます。

 八百屋さんでトマトを買うときやお花やさんで切り花を買うときのため 「小銭」は必要ですが、2000円〜5000円という金額となると現金で支払う 機会すっかり減りました。

 こう見てくるとどう転んでも「2千円札」は失敗だったようです。どう せ「こどもへのお年玉」程度の使い道しかないということで、こうなった ら当初の予定通り「記念紙幣」になって頂くのが一番いいようですね。

 「期間限定、今だけ紙幣よ」ってことにすれば「冬季限定くちどけポッ キー」みたいに人気にも火がつくはずです。そうでなくても発行停止とな れば紙幣コレクターの間で奪い合いになることは確実です。

 「レアものは高く売れる」というのが経済の法則。その時のために今の うちに2千円札をタンスに入れて30年後「幻の紙幣」としてのプレミア をねらう!・・・なんていかがでしょうか。

 インフレが起こらなければ、これぞ「スーパータンス預金」(?)。