【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● “バリューセット”は、ホントにバリューがあるの?
◇ 3/21 ◇ 高原育代(AFP)

 春分の日もすぎて、日一日と春らしくなってきました。 春といえば、やっぱり行楽シーズン。家族でカップルで、あちこちお出かけの機会も 多くなってくると思います。

 さて、大人だけのお出かけならいざ知らず、わが家のような子ども連れでドライブな どに出かけたりすると、どうしても一度は、「おなかすいた〜」コールとぶつかって しまいます。
上の子が小3、下の子も幼稚園の年中ともなれば、ファミレスに入ったってそれぞれ 一人前のメニューを注文しなくてはいけません。そうなると、家族4人でもけっこう かかりますよね。

 目的が「おいしいもの」でないときには、空腹をとりあえず安く満たしたい。そんな ときにお手軽で便利なのが、某Mハンバーガー。 昔とくらべて明らかに値段が下がったものとして、身近に感じるのが、このMハン バーガー。

 “バリューセット”の登場によって、私が学生の頃には、単品で注文するしかなかっ た、Mハンバーガーでの店頭でのやりとりはすっかり変わりました。 ハンバーガーとドリンクを注文すると、以前はもれなく「ポテトはいかがですか?」 と笑顔で聞かれたものでした。 今や、“バリューセット”が、メニューの上段にド〜ンとあるので、ドリンクもポテ トもセット注文できますから、お互いにそんなわずらわしさもなくなりました。

 しかも、「平日半額」なんていうサービスによって、コンビニで菓子パンを買うより 安く、ハンバーガーが買えるのですから、業界トップの座を誇っているのは当然かも しれません。

 ところが、です。あえて、提案。 “バリューセット”は、ホントにバリューがあるの?

 わが家が利用するのは、たいてい休日。それも、家族4人分をお店で食べる場合に は、“バリューセット”が必ずしもお得だとは限らないのです。 わが家にとっては、ハンバーガーとドリンクは必要だけれど、ポテトはいくらかあれ ばいいという程度のものなのです。
ということは、4つもバリューセットを注文してしまうと、ポテトが多くなりすぎて 食べきれないという結果になってしまいます。

 バリューセットのお得度を、最も安い「ハンバーガーセット」を例にして、チェック してみましょう。

 まず、単品。ハンバーガーは、130円。ポテトSが150円。ドリンクは選択の幅が140円 から200円まで。これらを単品で買ったとしたら、420円から480円かかることになり ます。(ただし、平日なら355円から415円になります。)

 これに対して、バリューセットで注文すれば、350円。 ほら、やっぱりセットの方がお得になっているじゃない…と思われるでしょう。 確かに、「ハンバーガー」も「ポテト」も「ドリンク」も、3つすべてを食べたい、 という人にとってはお得なことには違いありません。

 でも、もし、セット販売がなかったとしたら、「ハンバーガー」と「ドリンク」だけ でもいいと思っている人にとっては、どうなんでしょう。 ハンバーガーとドリンクだけなら、最小270円、最大でも、330円で済んでいたので す。(平日なら、205円から265円。)

 それが、別にどうしても食べたいと思っていなかったポテトまで、セットで買うこと によって、350円を支払うことになるのですから、支出という点から考えると、わず かではあるけれども、人によっては本当の意味で“バリュー(価値がある)セット”と は言えない場合がだってありうるのではないでしょうか。

 単品なら150円のポテトが、セットで買うことによって、たしかに20円から80円とい う割引価格で買えることは事実です。 でも、いくら割引価格で買えたとしても、本当に必要でないものであれば、たとえ20 円であってもお金を支払う必要はないと思いませんか。

 20円なんていうケチな金額を例に考えれば、大したことはありませんが、これを「生 命保険」に置き換えて考えるとどうでしょう。

 日本で最もメジャーな生命保険である「定期付き終身保険」は、“バリューセット” のようなものだといえます。 定期付き終身保険は、主契約である終身保険に、特約としての定期保険や医療保険が くっついたセット保険です。

 ということは、終身保険も定期保険も医療保険も、すべて必要な人にとっては、確か にお得であることは否定しません。

 でも、「ポテト」の場合のように、セット販売がなければ買わなかったかもしれない ものに対して、不要なものに対してお金を支払ってしまっているということが、あな たの「定期付き終身保険」の場合にもあるかもしれません。

 保険証券を確認してみてください。
「疾病入院特約」「災害入院特約」にはじまって、「災害割増特約」「傷害特約」 「通院特約」「成人病特約」「がん入院特約」「「三大疾病保障特約」「疾病傷害保 障特約」など。ここに挙げていないような新しいものが、あなたの証券に載っている かもしれません。
証券に載っている、ということは、あなたがその特約に対して「お金を払っている」 ということです。「え〜、こんなの見たこともないし、入っているつもりなんてな かった!」っと言っても、それも含めた金額を支払っているのです。

 「わが家にはこの“ポテト”はいらないわ」と判断したら、ハッキリ「ポテトはいり ません」と言いましょう。 他人にとって“バリューセット”でも、あなたにとっては“バリュー”がなければ、 単品で必要なものだけを買うのは当然です。

 ただし、せっかく勇気をもって、「この特約は必要ないので解約します」と伝えて も、「この特約って、たかが年間300円なんですヨ」と食い下がられることがありま す。 たしかに、特約によっては、この程度、あるいはもっと安い金額のものもあるのは事 実です。

 それでも、ハンバーガーの場合と大きく異なる点は、保険の場合には、たとえ年間の 金額が何百円であっても、支払は何十年に及ぶということ。

 定期付き終身保険が、あなたにとっての“バリューセット”かどうか、今一度たしか めてみて下さいね。