【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● やっぱり わからん マイライン
◇ 2/20 ◇ 高原育代(AFP)

 先日、友人からかかってきた電話の中で、「そうそう、あのマイラインって、よく わからないんだけど、実際のところ、どうしたらいいの?」なんていう話が出まし た。 それと前後して、わが家が加入している新電電の会社からも、「マイラインはわが 社へ加入を」という勧誘の電話がかかってきました。

 この新サービス、実際の開始時期は5月なのですが、事前に登録が必要なことと、 その登録自体は1月から既に始まっているということで、各社のCM作戦や営業作戦 は、今後さらに高まってきそうです。

 で、みなさんは、この「マイライン」というサービスに対して、どういう方法をと るか、決められましたでしょうか。

 実は、私はまだどうするか、決めていません。( 胸を張って言えることでもないで しょうが…) 毎月、電話の請求書とともに、「マイライン」関係のパンフレットや申込書が送ら れてきます。そのたびに、「そゃそゃ、これ早ょ検討せなあかんのやった」と思いつ つ、ついつい後回しになってしまうのは、いったいなぜなんでしょう。

 ハッキリ言って、このサービス、“わかりにくい”!!!

 「マイラインがどういうサービスであるのか」ということは、だいたいのところ は、みなさんもご存じだと思います。 送られてくるパンフレットや、新聞のCM、インターネットのHPなど、情報はあちこ ちで提供されています。 ごく最近では、2月15日付け朝日新聞にも特集が組まれていました。 インターネットでは、「マイライン事業者協議会」のHP http://www.myline.org/に、サービスの詳細が掲載されています。

 でも…、でもです。 それでも“わかりにくい”印象がぬぐい去れないのは、「自分にとっては、どう行 動することがトクなのか」という、最も知りたいことが、どこを読んでもはっきりし ないからではないでしょうか。

 誰にとってもおトクになる基準は、残念ながらありません。 電話の料金体系は、「かける方の場所」と「かけられる方の場所」の位置関係、か ける時間帯、話す時間の長さなどによって、すべてが変わってくるという複雑なもの です。

 しかも、最近は自由化の影響で、電話会社どうしの割引競争が激化し、各種の割引 サービスの制度もさまざま。(競って、値引きしてくれること自体は、うれしいこと ですが。)     現時点でも、各会社の割引制度を利用している方は多いはずです。 そこへ、さらに「マイライン」が登場するのですから、いったいどう考えて決めた らいいの!?っていう状態ですよね。

 では、「マイライン」について検討する場合、どう考えたらいいか、ステップごと に考えてみることにしましょう。

 まず第1ステップ。
 〔加入する〕か〔加入しない〕か。ここが最初の分かれ道。

 〔加入しない〕を選んだ場合は、もっとも簡単。「マイライン」に関しては、何も しなくていいのです。
 〔加入する〕を選んだ場合は、第2ステップへ。 〔『マイライン』にする〕か〔『マイラインプラス』にする〕か。

 そうです、通称「マイライン」といっていますが、実際には『マイライン』と『マ イラインプラス」という2種類の異なったサービスに分かれているんですよね。

 『マイライン』の正式名は、「電話会社選択サービス」。『マイラインプラス』の 正式名は、「電話会社固定サービス」。それ以上の細かいサービスの内容を知りたい 方は、上に紹介したサイトを見てくださいね。 ともかく、「選択」と「固定」という反対の意味のことばを使っているサービスな のに、ひとくくりで「マイライン」という名前になっていることは、わかりにくい一因で しょう。

 そして、第3ステップ。ここからがさらに、複雑…。

 「マイライン」にしろ「マイラインプラス」にしろ、さらに、「市内」「同一県内 の市外」「県外」「国際」という4つの通話区分について、複数の会社の中から好き なものを選んで登録できるというのです。

 自分にとって最もおトクな会社を選べるのはいいですが、それがどこなのかを見き わめるのが大変。 「市内」と「国際」については、境界がはっきりしているので、選びやすいでしょ う。問題は、「同一県内の市外」と「県外」。 これらについては、かける人の場所とかかる相手の場所とが、何キロ離れているの かによって、選んだ会社がトクなときと、そうでないときがでてくるかもしれませ ん。

 「マイライン」を利用して、ちょっとでもおトクに、を厳密にやるなら、この第3 ステップが決め手になりますね。

 電話を使うスタイルが決まっている人にとっては、まだ選びやすいですが、そうで ない人にとっては、「選ぶ基準」というものをどこに置くかということで悩まなくて はいけません。 一応、参考になりそうなサイトをご紹介しておきましょう。
 「比較ドットコム」のマイラインファインダー
 http://village.infoweb.ne.jp/~fwnk7304/myline/kokunai.htm

 さあ、あなたはどうします?
 第1ステップで、〔加入しない〕を選んで、何もしない。 もしくは、〔加入する〕以上は、徹底的に第3ステップで比較検討しまくる。 自分の電話の使い方を見直して、どうするか決定してみてください。

 ただし、〔加入しない〕を選ぶ場合、心理的には「加入しないと何かソンなのでは ?」という問題があるかもしれません。今現在と比べて不都合になる点があるのかど うか」ということだけを確かめて納得できたら、何もあわてて、サービス開始時点か ら利用しなくてもいいのではないでしょうか。 「加入しないとどうなるか」ということも、上にご紹介した各サイトのFAQコー ナーに出ていますし、各社に電話で問い合わせて確認することもできます。

 逆に、「マイライン」を使うことで、今利用している各種割引サービスが使えなく なる場合もあるようです。今の電話料金におおむね満足している人なら、わざわざ 「よくわからんマイライン」に振り回される必要はないかもしれません。

 11月以降は、登録や変更に対して、800円の手数料がかかるということですが、そ れについても、「わが社へ登録してくれれば、ウチがもちますよ」っていうサービス 合戦が始まるのではないかという見方もあるそうです。

 ところで、「マイライン」の導入目的は、「電話をもっと便利にご利用いただくた めに」だそうです。

 こんなに複雑なんじゃぁ、ちっとも目的にかなっていないような気がします。 ACR(LCR)もついていない古〜い機種を使っているわが家ですら、今まで通りに「ゼ ロゼロ○○」をかける一手間の方がよっぽどマシかも、なんて思っているぐらいで す。

 「マイライン」を利用しないと、電話が使えなくなるならともかく、「なんだかよ くわからないサービス」に右往左往されるよりは、ともかく事態をじっくり見守っ て、自分がしっかり納得できたところで、そのサービスを利用する方が主体的かもし れませんね。