【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 巻き寿司1本食べたいだけなのに
◇ 2/06 ◇ 深川悦子(AFP)

 私が住んでいる向かいに、中堅クラスのスーパーがあります。  そのスーパーのお総菜コーナーに売っていた「海鮮巻き寿司」 が私の大好物。しかし、その商品が最近店頭から姿を消してしま いました。
「食べたけりゃお客様の声とかいうのに要望として出せばいい んだよね?」と思い、どうしてもそのお寿司を食べたかった私は、 投書をすべく専用の用紙と専用ポストのある場所を探しました。

 が…しかし、そこで待っていたのは、サービスカウンターのお 姉さん。 別に苦情を書くわけじゃないけれど、店員さんの真ん前で書く のはなんだか気が引けるというものです。 結局、投書はせずにただお寿司が食べたい…という気持ちだけ が残ってしまいました。

 それから数日後、ネットサーフィンをしているときにふと気が つきました。
「あの店のサイトから要望を出せばいいんだ!」
 毎日嫌というほどPCに向かって仕事をしている私なのに、ど うしてそれに気が付かなかったんだろうっ!と意気揚々とそのス ーパーのサイトを検索しました。

 ありました、ありました!さすがはインターネット!(笑)
「海鮮巻き寿司が食べたいのぉ〜っ!」と、喜び勇んで「お客様 のご意見・ご要望」を求めるページを探しましたが…ないのです。 どこをどう探してもコンテンツどころかメールアドレスすら見つ からない。 ただ、そこには自社の店舗案内と企業案内、社長の声だけが掲 載されていました。

 確かに、店舗案内や社長さんの理念は就職活動をされている学 生さんなどには企業情報として必要不可欠なものでしょう。でも、 一般の主婦が見るには何かが違う。 しかも、その企業は主に主婦を対象としているスーパーのはず なのに…。 別にすべてを載せろと言っているわけではないのです。でも、 せっかく企業がサイトを作っているんですからもっと有効活用す ればいいのになぁとは思ってしまいました。


 さて、話がかなり飛んでしまいますが、私はたまにPCのイン ストラクターの仕事をさせていただいたりもしています。 昨年は、縁あって中小企業の社長さん方にインターネットの活 用法などをお話させていただく機会がありました。

 その時の話なのですが、私は直接社長さん方と話をしていて「 サイトの活用法」が分からない方が意外と多いのに少々驚いてし まいました。 学びにこられているのですから、当然といえば当然のことなの ですが、大半の方はサイト検索やサイトを見るということに関し ては理解ができるのに対し、いざ自社のサイトを立ち上げるとな ると、何を掲載し何の情報を発信すればよいのかが分からないと おっしゃるのです。

 もしかすると、今までは業者間の取引のみで顧客から直接要望 を聞く必要性が少なかった企業の方が多かったのかもしれません。 しかし、これからはインターネットの普及により、対企業間の 取引から対顧客への直接取引も視野にいれることが必要となるの は否めない事実です。

 日本がIT革命と騒ぎ始めてから、急速に企業のサイトも増え てきました。その波に乗り遅れては生き残れないということで、 みなさん必死に勉強していらっしゃいます。 しかし、いくら技術面だけを勉強されていても本当に生かしき ることができなければ無駄な努力となってしまいます。

 重要なのは、顧客の声を聞き「顧客の立場に立つ」ということ。

 社長さん方には、今の努力が無駄にならないようにその基本的 なことを忘れずに、本当に顧客の立場に立ったサイト作りをして ほしいと願うばかりです。 ついでに言わせていただくならば、スーパーの経営者方は、サ イトにはせめてメールアドレスくらいは掲載しておいた方が無難 かと思います。載せていないと主婦の意見が聞けないというもん です。


 さて、余談ですが私はいまだに「海鮮巻き寿司」にはありつけ ない日々を送っています。 でも、いつの日かまたあの美味しいお寿司を口にできるかもし れないと、その日がくるのを楽しみにしているのでありました。 (そんなに食べたいなら、自分で作った方が早いかもしれないな  (^▽^;)