【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● マネー雑誌の「PR特集」って、ご存じですか?
◇ 1/23 ◇ 高原育代(AFP)

 先週の栄田さんのコラムは、「雑誌の呪縛から逃れてみては?」というものでした。

 実は、私もこの「呪縛」から逃れられないでいるうちの1人なんですよね。 とはいっても、私だって雑誌を買って、その内容に誘惑されて、さらにモノを買いた くなってしまうような雑誌はあまり買わないようにしています。

 さて、このコラムを読んでくださっている方が読む雑誌の種類の1つとして、マネー 関係のものがあると思います。

 私の場合、FPであるからというより、FPになる前から、そういった雑誌には興味があ りました。毎月、立ち読みから年間購読しているものまで含めると、何種類も目を通 していることになります。

 そんなマネー雑誌の中に、「PR特集」という部分があるのをご存じでしょうか。

 「PR」とは、“public relations”すなわち「宣伝や広報」ということです。

 もしお手元に、「マネー○○」とか「○○マネー」、「ある○○○」などがありまし たら、一度ごらんになってみてください。ページのすみっこに「PR特集」と書いて あって、ひとまとまりになっている広告があると思います。

 前回のコラムで栄田さんが指摘されたように、雑誌の主な収入源となっている広告。 これは、マネー関係の雑誌についても例外ではありません。

 しかも、マネー雑誌の場合、読む人が求めているものは、他の種類のものにくらべ て、はっきりしています。

 ということは、雑誌に広告を掲載する企業も種類が限られてきます。証券会社、銀 行、生命保険会社、商品先物取引会社、など…。

 これらの企業がこぞって、マネー雑誌に広告を掲載し、自分の会社の新商品をどんど ん売り込んでくるのは当然です。

 読者だって、そういった新しい金融商品を知りたくて、雑誌を読んでいる面もあるの で、企業と読者の利益が一致しているともいえます。

 そんな中で、「PR特集」というのは、読者への宣伝が、少しソフトになっている感じ がする広告です。

 この「PR特集」の構成は、まず特集についての解説記事。そのあと、各社の広告がな らびます。ただし、いかにも広告というものばかりがならぶのではなく、1ページが 広告なら、見開きのもう1ページは、記事形式になっているものが多いようです。

 記事形式になっていることのメリットは、その企業が最近力を入れていることはどん なことなのかということが紹介されていたり、広告に出している商品のくわしい内容 が説明されていることでしょう。

 しかも、「PR特集」のテーマが、自分の欲しい情報であれば、同じようなサービスを している会社のHPアドレスや問い合わせ先などが集めてあるわけですから、比較検討 するにも便利です。

 たとえば、特集のテーマが、「ホームトレードに乗り遅れるな」というものだと、 「ホームトレードをはじめてみようかな。どんな会社がどんなサービスをやっている んだろう」と考えている読者には、手軽な情報収集の場としてよいでしょう。

 ただし、注意しておくべき点も。

 上に書いたメリットが、デメリットになることもあるからです。

 記事形式で、会社や商品の紹介がされています。これは、あくまでも「PR」のためな ので、当然「いいこと」しか書かれていません。

 その雑誌によって、記事の姿勢もちがっているようですが、取材をしているのがその 雑誌の編集者ではなく、別の人や会社の場合もあります。

 記事のなかには、対談形式になっていて、その人の写真が載っている場合もありま す。

 人間の心理として、あるモノやサービスが、「ダレかが推薦してくれたもの」である と、安心して、信用する傾向があると思います。

 その場合、推薦してくれた人が、「どこのダレ」なのかということが大切です。その ダレかさんは、どういう立場の人なのでしょうか。「企業側? 読者側?」と考える視 点をもつことが必要でしょう。

 ちなみに、私たちのようなFP(ファイナンシャル・プランナー)が推薦者の場合も、た だそれだけで安心してしまわないように。

 FPにも、公平・中立的な立場からアドバイスする人もあれば、企業に属して、その立 場から自社の製品をすすめる人もいるからです。

 また、「PR特集」で得られる情報は、すべてではないことにも気をつけましょう。 特集してあるとはいっても、たまたまその雑誌に広告を出している会社の情報だけ、 先のホームトレードの例でも、その特集には掲載されていなくても、もっと便利でお トクなサービスをしている会社が他にあるかもしれません。

 この「PR特集」は、イジの悪い言い方をすれば、読む人に、これが企業の「広告」で あることを意識させないようにしているのではないか、と思えるものがあります。

 情報のなかの、「事実」の部分と、「広告」の部分。自分でこの区別をしっかりとし た上で、うまく情報を活用していきましょう。