【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 飯島直子も真っ青! 国勢調査のコスト
◇ 10/03 ◇ 鹿野さち子(AFP)

 「10月1日から国勢調査(こくせいちょうさ)が始まります。」という飯島直子の CMを見たことがあると思います。なんで飯島直子なの? という疑問は置いとい て・・・国勢調査というものは有名タレントを使って宣伝しなくてはいけないくらい大 切なイベントなのかな? なんてお思いの方もいらっしゃると思います。

 この調査は総務庁の統計局と言うところが5年に1度、10月1日午前0時で日本に住む人 全員に対して居住地や職業、勤め先や収入などに対して調査を行うものです。もちろん 日本在住の外国人、そしてホームレスの人に対してまでも一定の調査は行われます。

なんだかめんどくさいし、個人的な項目を国に報告するなんて不必要な気もします が、統計法第19条では、「申告をせず、又は虚偽の申告をした者」、「・・・申告を妨 げた者」に対して、「6箇月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。 」と規定しています。つまりちゃんと調査に協力しないと、処罰されてしまうのです。

 どうして人口や年齢の統計がそれほどまでに大事なのでしょう。

 まず「国」で言うと統計の結果が「高齢化がますます進んできているのでその対 策を早急に立てよう」などという、社会福祉政策の根拠となります。また衆議院の選挙 区を確定する際にも国勢調査による人口を基に行うことが定められています。

 その他、生活に深い関わりがあるところでは「地方交付税交付金」の金額を決めるた めの基準になっています。これは、各自治体の間の財政のバランスをとり、自主的で計 画的な地方行政を運営するための、政府からの援助金です。この交付額を算定するに当 たり「国勢調査の結果による人口と世帯数」を用いることが定められています。もちろ ん都道府県や市町村の議員の定数も国勢調査からの人口統計を基に決められます。

 つまり国勢調査の結果が国や地方自治体の行政や法律への基礎資料となっていると 言えるのです。というわけで調査にはぜひ正確な答えを書いて協力したいものです。

 さてこの「国勢調査」、当然のことながら先日我が家にも来ました。夫は「そういえ ばうちの親父も昔やっていたなぁ」なんてことを言っているのを聞いてびっくり。調査 をしている人は市役所の人だとばかり思っていました。

 調べたところCMの中で飯島直子が扮している「調査員」は「臨時の国家公務員」と いう扱いで約50世帯に1人、市町村長の推薦に基づき総務庁長官から任命されます。そ してその地域の調査約50軒分を回収し、チェックをして、時には電話で確認をとってだい たい5万円の報酬を受け取るのだそうです。結構いいバイトですよね。

 50世帯分で5万円ですから5万円÷50世帯=1000円。単純計算で手元の調査用紙1枚に 1000円のコストがかかることになりました。

 これが日本の全世帯分となるとどれくらいのお金(税金)になるのでしょうか。こう なったら計算してみるしかない! と思い、総務庁の統計局のホームページで5年前の 調査の時に日本全国で何世帯くらいあるのかを調べてみました。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/1995/index.htmすると日本の人口125,570,246人 に対して世帯数は44,107,856世帯。

 少な目に4千万世帯と見積もっても調査にかかる人件費は、1000円×4千万世帯=400 億円。約400億円(!)もの金額になります。他に紙代や宣伝費などもかかるし・・・。

 この数字を見るとこの原始的な方法、何とかならないのかしらと思ってしまいます。 まあ、今の段階では一軒一軒廻ることでその家庭の状況を見て確実に回収するという意 味もあるでしょうし、例えインターネットが約半数の家庭に普及しても国勢調査に使う にはセキュリティーの面で問題があるということなのでしょう。

 ただ,たとえ時代に即した低コストの調査が可能になったとしても「統計法」という 法律を改正しなくては採用することが来ないという日本システムのまだるっこしさも、 指摘できると思います。

 大切な調査だからこそもっと効率的にやって欲しいと思うのは私だけでしょうか。  日本の国が今どのような状態にあるかを調べるための調査なのに、手間やお金をかけす ぎて、日本の国債がまた増えるなんてことにならないよう祈るばかりです。

 500兆円以上の借金があるといわれる日本には、ちっぽけな話かも知れませんが…。