【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● タダで捨てられるゴミはない
◇ 9/12 ◇ 深川悦子(AFP)

 日々生活を送っていると、気づかないうちにゴミが出てきます。

 私の住んでいる地域では、毎週火曜と金曜がゴミの収集日となっています。
 しかし、我が家から出るゴミの多いこと多いこと!  何をどうしたら、こんなにゴミが出るのか自分でも不思議に思ってしまうこと が多々あります。

 なぜ、このようにゴミが大量に出るのでしょうか?

 以前、知人とゴミ問題に関して話をしたことがあったのですが、彼女いわく、 「そりゃぁ、企業のゴミ問題に対する姿勢に問題があるからやよ」と言うことで した。しかし、本当に企業だけが悪いと言い切れることなのでしょうか?

 商品が売れる背景には、必ず、消費者のニーズがあると言うことが大前提とな ります。例えば、ビール瓶とビール缶を例にあげてみましょう。

 環境問題から考えると、瓶の方がリサイクルの点からも、優等生であることは おわかりになることと思います。しかし、激安酒店でビール瓶1ケースを購入し て自宅まで持って帰るには、あまりにも重すぎますよね。そこで、手軽な缶ビー ルが登場ということになります。

 缶ビールも、全くリサイクルできないというわけではありません。分別ゴミと して処理されている地域では、アルミ缶とスチール缶に分別した後、リサイクル され、別の製品として、この缶たちが別の商品として生まれ変わっています。

 しかし、このリサイクルにかかる熱量とでも言うのでしょうか、実際リサイク ルに当たるにも様々なエネルギーがかかり、結局は、トータルでかなりのコスト がかかるのが現実です。そしてこの費用は、みなさんが支払っている大切な税金 から捻出されているのです。

 ここまでの話で、だいたいのことはおわかりいただけますよね。私たちが日々 生活の産物として、何の気なしに出しているゴミが、結局は、自分たちの首をし めているということなのです。

 ゴミが増えるということは、処理場が必要となってきます。処理場を作るには、 費用が必要。このコストを、私たちが負担しているという現実を忘れてはいけな いのです。堅苦しい話になりそうですが、必要なポイントは1つです。

 要は、私達自身が、もっとゴミに関して【関心を持つ】と言うこと。
 最初にお話した話のように、企業が云々という人任せでは済まないのです。

 企業は、消費者にマッチした商品を販売します。それを消費者が認め、市場に 占める割合が増えてくると、その原材料を使用していなかった企業も、その波に のらなければいけない。もし、それがゴミ問題に直結するような商品であったと しても、必要とされるのであれば、企業は販売することとなります。

 ですから、この状況を改善するためには、私たち消費者が、ゴミが少なくて済 む商品を希望する必要があるのです。もしそうなれば、最終的には、ゴミ焼却場 の新設や埋め立てに私たちの税金が使われる割合が減り、福祉や教育の問題に少 しでも税金を回せるのではないのでしょうか?

 以前読んだ小説に、こういう話がありました。

「ある人が、一つの穴を見つけ、その穴に小さな石を投げ込みました。その石は、  どこにいったか、反応がなかったのです。そして、人々は次第にその穴にゴミ  を捨てるようになりました。そして、最後には、核の処理に困った人間がその  穴に、核を放り込んだ後に…。最初に投げた石が、空から降ってきました」

 考えただけでも恐ろしい話だと思います。

 結局、無料でゴミの処理なんてできないのです。

 そのことを肝に銘じて、ゴミに対してより深い関心を持つとともに、リサイク ルや環境保護の点から優れた商品を評価する意識を持ってみてはいかがでしょう か。私たちが意識を変えれば、企業の行動も確実に変わり、最終的には私たちの 生活環境をより素晴らしいものにすることができるでしょう。