【主婦FPが語る】いまどきの生活のしくみ


● 買ってはいけない! 水曜日のトホホ通販
◇ 8/08 ◇ 鹿野さち子(AFP)

 主婦たるものは朝、新聞を開くと本紙より先に広告の方に目がいってしまいま いがちです。スーパーの特売品をはじめとして、クリーニング店の半額セール や、レンタルビデオ店の100円セール、地域情報紙上でのフリーマーケットの情 報などなど、新聞の折り込みには生活の上でチェックしておきたいことが結構あ るのです。

さてさて、水曜日はとんでもない通販広告が多いのはウチの地域だけでしょう か? まず「痩せる指輪」「痩せるお茶」「脂肪を溶かす食品」などの痩せるシ リーズ。ド派手なカラーの広告に、必ず実際に使った人の体験談が「使用前、使 用後」の写真付きで載っています。使用後がモデルのようにきれいな人だったり すると「このおでぶさんは合成写真?」と疑ってしまいます。

 そして不況を反映してか最近多いのが「お金が貯まる」シリーズです。「黄色 い財布」「緑の財布」「幸せになれるブレスレット」「開運の絵」・・・。

 そしてこちらにもお約束。それを買って大金持ちになった人の体験談が顔写真 入りで載っているのです。「宝くじで1千万円あたりました」とか「玉の輿に乗 りました」とか「事業で大成功」とか。この写真の人達は、一体どこのドイツだ オランダだ??

 ・・・とつっこんでみたものの、実は恥ずかしながら私は何度もこの手の怪し げな広告に騙された経験があるのです。若い頃買った「パッチリ二重まぶたにな れるクリーム 9,000円」はただのノリでしたし(私はぼんやり二重)、「つけ るだけで大胸筋運動ができワンサイズアップする下着 9,700円」はただの底上 げでした。(笑ってくれ・・・!!)そして昨年ダマされたのは「視力回復機」 49,800円。

 「96%の人の視力が回復しました」という宣伝文句を信じて、何ヶ月かトレー ニングしても全く効果がありません。「私はこの機械では回復できない4%の人 間だったのね」とあきらめてしまいました。

 どの場合にも共通するのは、その商品自体はさほど高額でなく、主婦のお小遣 い程度で買えるのですが、その後、美容整形やエステ、化粧品の案内のセールス 電話がガンガンかかってきて、断るのに大変だったということ。つまり「こんな 商品を買った。この人はこういう悩みを持っている」という情報が売る側に残っ てしまったということです。

 極めつけ、視力回復機の会社からは、「効果がなかったこと」を連絡したわけ ではないのに、先頃こんなダイレクトメールが・・・。「新しい視力回復機械が 出ました。昨年までのものに比べ、より性能がアップ。これを7万円のところ特 別価格6万円で・・・。」ア然。結局あの機械では回復しないというのが前提 だったのね。

 どれもこれも「人の弱みにつけ込んだ売り方」なので数万で買えるとはいって もそのもの本当の価値に比べると「ぼったくり」です。そして売る側の最終的な 目的は、買ったり資料を請求した顧客の情報をもとにその人の弱点につけ込んで さらに高価なものを売ることにあります。

 黄色や緑の開運財布も、多少の遊び心で持つ分(私はあんな趣味の悪い龍の絵 はいやですが)には自由だと思いますが、効果のある財布を求めていくつも買い 換えたり、「これで運がつくのだわ」と宝くじを買いまくったりギャンブルしま くったりする人が出ないとも限りません。

 こういう「怪しげ商品」に関しては買って効果がなくても全くの自己責任。
「苦情を処理してもらう窓口」がないというのが現状です。消費者相談センター などはもっと悪質なマルチ商法などの被害者のために利用されています。

 オリコミ広告を出すという行為にも特に基準がなく、ある程度「大げさ広告」 であったとしてもお金さえ出せば朝刊にはさんでもらえるという現状です。つま り、よほど悪質でない限り「こんなものに騙される方が悪い」ということになる のです。

 金融商品等への「自己責任」は世間でやたら言われるようになり、意識して情 報を集める投資家も増えましたが、まだまだこの世の中には人間のコンプレック スにつけ込んだ「マユツバ話」がたくさんあるということです。情報の少ない商 品、都合の良すぎる商品には気をつけないといけませんね。

 それでもまだ「元○○ガールズの××さんご愛飲ナイスバディがあなたのモノ に!」という広告に目がいってしまう、どうしようもない私でした。とほほ。