【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆「IT」と豊かな生活
○ 11/10 ○ 鹿野さち子(AFP)

 6日、森内閣の「IT戦略会議」がまとめた「基本戦略」の草案が発表されました。

 (栄田さんの9月29日コラム「Eージャパンって何」http://www.mylifenavi.net/fri_column0929.htmlも参照してください。)

 これによると、日本という国は、

 ・すべての人がITを備えて情報を取得できる国にする
 ・2003年までには電子政府を実現
 ・超高速インターネット網を整備して5年以内に世界最先端のIT国家となる

 などということを目指すそうです。

 IT(インフォメーションテクノロジー)という言葉、最近いろいろな場面で使 われますが、つまるところインターネット(世界共通のコンピュ−ター通信網)を使っ て自由に情報をやりとりする技術ということでしょう。

 先日、あるクイズ番組の「高校生大会」を見ていると、多くの学生が自己紹介の欄に 「趣味・インターネット」「趣味・ネットサーフィン」と書いてあるのが目に留まりま した。(おそらくi-モードとは区別してそう書いているんでしょうね。)

 いくら進学校の生徒でもまだ16〜17歳の若者。今のところはネットにつないでいろん なHPを見るのが楽しいという段階なのでしょう。でも、「趣味」というのはスポーツ とかダンスとか絵画とかそれ自体を目的として完結したものです。インターネットはそ れ自体を目的としたものではなく、「インターネットを使って何をするか?」それが目 的であり「インターネットが趣味」と言うのは「ちょっと勘違い」だと思いました。

 政府の役割は「国民の生活を豊かにすること」でしょう。しかし政府の戦略を読む限 りは、インターネットにつなげられる環境さえ作れば景気が良くなり、国民の生活が豊 かになるという考えのようです。「1年以内にすべての国民がインターネットに低価格 で接続できる」。仮にそれが実現できたとしても国民はインターネットを使った情報 で何をするのでしょうか?

 ☆ ここで一句 「つないでも 目的なければ ただの箱」

 これを読んでいるあなたが最初にインターネットにつないだときどんなサイトにハマ りましたか? 米国のある地域では図書館にインターネットにタダで接続できる環境を 整備した結果、公共の場で“アダルトサイト”にアクセスする人が続出したそうです。

 さて「政府はITで国民に何をさせようとしているのかわからない」と思う私で すが、私自身はインターネットによって1年前よりも確実に豊かになりました。

 ホームトレードで株や投資信託を買って損をしても、電話料金が以前の2倍になって も、ネットオークションでニセモノをつかまされても気になりません。 自分の心の中が「豊か」になった気がするからです。

 いくつか入っている同資格者との意見交換の場や、金融サイトのBBS(掲示板)、 そして情報発信者とのメール交換などで、自分の思ったことを「文章」にしてみんなの 使う電波の隅に残す。そこから発展して、コラムらしきものもを、こういう形で書くよ うになったのです。なんか「生きている」っていう感じ。毎日が感動です。

 これによって、今までの生活では見過ごしてしまいそうなことにも「これはどういう ことなんだろう?」と考え、わからないことは検索サイトで調べたり、意見交換の場で 質問したり・・・。この「考えて解決する習慣」は株の評価損や電話料金に替えがたい 自分の財産になったと思っています。

 このように「鹿野という人間」にとっては「インターネット」という手段は有効でし た。しかし、国民全員にそれが当てはまるかというと残念ながらそうとは限らないと思 います。地域の活動や、実際に体で動いて行うボランティアなんかの方が「豊かな気持 ちになれる」という人もいっぱいいるでことしょう。

 政府の「IT戦略」の目的は一体何? 単に米国のマネをしたいだけのことなの?  もう一歩踏み込んだところを国民に示して欲しいものです。そうすれば、インターネッ トをやるべき人は多少の通信コストがかかってもするでしょうし、一生ITと無縁で暮 らすという選択もできるのだと思います。「押しつけIT」で、豊かな日本が実現する はずはないと思うのですが・・・。

 ☆ 最後にもう一句 「ITを 生かすも殺すも キミ次第」

 ・・・・・おそまつでした。

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 インターネットがみなさんの生活に生かされ、1人でも多くの人が自分らしく生きることができるようにとの願いを込めて当社のFPで『ネット時代今どきの経済通になる本』を書きました。「政府の草案ではITで何がどうなるのかわからない」という人はぜひ一読を。
 http://www.mylifenavi.net/netbook/index.html