【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆401(k)なんて怖くない!
○ 6/15 ○ 鹿野さち子(AFP)

 日本版401(k)・・・「確定拠出型年金」の導入を盛り込む「企業 年金改革法案」がいよいよ成立するメドがついたようです。

 この「確定拠出型年金」に対しては「株価対策」とか「大企業救 済」という若干の批判もあるのですが、正しく理解しうまく活用す れば我々の年金に新たな選択肢を与えてくれる、とても重要な制度 だと思います。 そこで今日は一足お先にこの「確定拠出型年金入 門コラム」をお送りします。

 ■キーワード その1 「自己責任」

現行の公的年金(国民年金、厚生年金)の上乗せとして企業が取 り入れている年金制度を「企業年金」と言います。具体的には「厚 生年金基金」や「適格退職年金」などです。これらは企業が将来の 給付をあらかじめ約束してくれているので「確定給付型」と言われ ます。

 この「企業年金」が近年ピンチなんです。その理由は「株価の低 迷や低金利による運用の悪化」そして「社員の高齢化」などが原因 です。運用が苦しくなってもお約束の年金は払わなくてはいけない のですから企業は自腹を切って本業の儲けから企業年金へ支払うお 金をやりくりしなくてはいけません。

 しかしこの不景気で「企業の本業」も苦しい状態。企業年金が企 業の本業を圧迫しては従業員にとっては元も子もないですよね。そ こで今までの「確定給付型の企業年金」を将来の給付額が確定して いない「確定拠出型」に移行してもいいですよ・・・というのが今 回の法案の1つの趣旨なのです。

 従業員はいくつかの選択肢の中から預貯金、投資信託、自社 株などを組み合わせて自分の責任で自分の年金資金を運用していっ てくださいよという制度なのです。

 ■キーワード その2 「労使の合意」

 確定拠出型年金を導入する場合「労使の合意」が必要です。これ は今まで「確定給付型」で企業年金を運営してきた企業が確定拠出 型に変えようとする場合に限らず企業年金がない会社が新たに導入 する場合でも同じです。一方的に「じゃ、あしたから自分で運用 してね」って言うことは許されません。

 そしていずれも「導入する場合」、企業側には従業員に投資教育 を行わなければいけないという義務が課せられます。

 ■キーワード その3 「ポータビリティ」

 「企業年金」は今までは「その企業独自の年金」として運用され てきたわけですので、転職などで中途脱退するとかなり不利になり ました。しかしこの確定拠出型年金は企業に頼らないスタイルでの 運用になりますので3年以上積み立てた人は転職してもそのままの 条件で続けていくことも可能なのです。(出来ない場合もあります し、自社株など続けられない商品もありますが・・)

 概要はこのキーワード3つでわかったでしょうか?
 短いコラムで全てを説明するのは至難のわざなのであとは「怖く ない!」理由をポイントとして4つお伝えするにとどめます。

 ●ポイント その1 「公的年金とは別の話」
 確定拠出年金が始まっても「現行の国の年金」である国民年金や 厚生年金は今のままの確定給付年金のままです。そのへんはご安心 を。

 ●ポイント その2 「確定利息の商品もある」
 401(k)向け運用商品は投資信託に限らず、預貯金など確定商 品も合わせて必ず3種類以上用意されます。投資が必要でない方は 確定利息付きの商品で積立運用することだって可能なのです。

 ●ポイント その3 「企業年金がない人は新たな年金ができる」
 この法案によって、今まで企業年金のなかった企業や自営業者の 人たちにも公的年金への上乗せ年金が作れるようになります。

 ●ポイント その4 「節税効果」
 いずれの場合も「国の年金」と同じで拠出(積立)時、税制面で の優遇があります。つまり給料から積み立てたお金に関しては所得 税がかからないのです。ですから個人で金融機関に口座を作って積 立てるよりも断然効率的になります。

 とはいっても、「自己責任」ですから「運用大失敗!あちゃー」 ってことがないとは限りません。そうならないために個人が常に経 済の状況を把握して自分のライフステージに合わせて運用商品を決 めていかなくてはいけません。

 401(k)によって、個人が自分の生涯を常に見直し、自分らしく 生きるためのきっかけができるかも知れません。そういった効果も 期待したいものです。



*** 戻る ***