【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆地方骨太計画
○ 6/08 ○ 西島直子(AFP)

 『骨太の方針』が5月31日に経済財政運営の基本方針の原案として発表され ました。『骨太の方針』という命名については、「分かりにくい、具体的で ない」などの批判の声もありましたが、ごくごく一般の庶民にとっては、「経 済○○基本方針」よりずっと身近に感じ興味をもってニュースを見聞き、新聞 を読んだりするきっかけになりますね。政治・経済について広く国民にわかり やすく示すには、評価できることのひとつではないでしょうか。

 さて、この『骨太の方針』のひとつに「国と地方の見直し」があります。地 方発展について「均衡」から「競争」へ、という考え方に変わろうとしている のです。これは地方の自立を目指し、交付税配分のあり方を問い正すものです。

 確かに地方交付税の見直しは必要だと思います。
 人口などから算出される行政費用を地方税で賄えない場合に自動的に補填し ているため、地方行政サービスに関するあらゆる努力が産まれにくい仕組みに なってしまいます。

 人間というもの、何の努力もなしに何かを手に入れることが出来たら・・・。  そう考えるとなぜかは自ずとわかりますね。大半の人は、それ以上努力もし ないでしょうし、それを手にいれることが出来なくなるとしたら反対するでし ょう。分からなくもありません。

 これが地方に頼りにされていることは確かでしょうが、それを増やしてもら う努力はしても根本的に歳出を削減したり歳入を増やしたりして、費用対効果 の高いよりよい地方行政サービスにはなかなかならないような気がします。

 交付税とは少し性格が違いますが、そういえば少し前にふるさと創生のため の助成金というものがありましたね。あの1億円活用のゆく末はどのようにな ったのでしょうか? 何に使っていいか分からないためか、金塊を買ったとこ ろがありましたが、それがふるさと創生のためになったのかは疑問を持たざる を得ません。

 人間は基本的に怠け者です。何をするにもいかにやる気や目的意識をもつか が大切なので、地方行政においてもそれをどのようにして持ってもらうかが今 後の大きな課題になるのではないでしょうか。それは、難しく考えてというこ とでなく、些細なことであってもそこに住む生活者の利益になるものであれば よいのです。

 もちろん、自立するにあたっては、今までの温室環境から急に自然環境にさ らされる訳ですからサポートは必要です。お金をばらまいているだけでなく、 自立・成長できるようにも支援することが国の仕事になってくるのでしょうね。


 ところで、大ベストセラーの自己啓発本「チーズはどこへ消えた?」と全く 正反対の内容の文学本「バターはどこへ溶けた?」をご存知ですか?

 「チーズ」は、今の世の中変化が激しいですから、それにいち早く対応して 自己変革することにより、自分の人生におけるチーズ(=求めるもの)を手に 入れることができるというお話。それに対し「バター」は前に進むために置い てきた、又はなくしてきた大切なものについて、見つめ直すことを説いていま す。大反響の「チーズ」に対して、少し待ったをかけるパロディですね。

 日本でも常に経済成長を優先したために失ってきたものがあるはず。そうい ったものに是非目を向けて、これからの時代に必要なものには手を差し伸べて 欲しいものです。

 地方行政には、生活をしていく上でとても身近なサービスである、教育・保 健衛生・水道・福祉・災害対策・生活文化・環境などがあります。

 競争原理の導入は各地方に特色が産まれ、われわれ生活者の生活地域の選択 には確かに役立ちそうです。こういった面からも基本的に地方自立は歓迎なの ですが、ひとつだけ心配もあります。それは、最低限のサービスがままならな い地域が出てこないかということ。大切なものを失わないよう、最小限の基本 的なサービスは均衡で、その上にプラスαとなるサービスは競争とするような 基盤が整備されることに期待したいですね。