【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆道路特定財源見なおしが語るもの
○ 6/01 ○ 栄田育子(CFP)

 小泉首相が様々な制度を改革しようと一生懸命働いているようです。
 結果がどうなるかは別にして、このような動きすら今まで目にすることが無かった 私にはとても新鮮に思えます。結果も出るといいですね。

 さて、小泉さんが考えている改革の一つに「道路特定財源の見なおし」があります。 最近よく耳にするこの言葉にちょっと詳しくなりましょう。

 「道路特定財源」は、自動車を使う人は道路の整備で利益を得ているという「受益 者負担」の考え方に基づいて1954年(昭和29年)に導入されたものです。自動車や燃 料にかかる税金は、所得税、法人税など一般の税金とは区別して道路整備の財源にあ てるという考え方なのです。

 対象となるのはガソリンに課税する揮発油税(きはつゆぜい)や軽油にかかる軽油 引取税、自動車の取得時や車検の際に納める自動車取得税、自動車重量税などです。

 国税のうち揮発油税の全額と石油ガス税の5割は国の道路整備にあてることが法律 で決められています。また、自動車重量税の4分の3は使い道を特定しない国の一般 財源になりますが、創設時の事情からその8割を道路整備にあてています。

 この「道路特定財源」は、親が子供に使い道を指定して渡すお小遣いに似ています。  親の立場では、子供にお金を渡して本を買って勉強してもらい、知識を得るという 利益を得るための負担をお小遣いという形でするわけですね。

 「道路特定財源」が小泉さんの見直し対象になったのは、使い道を特定している結 果、必要性がないものにお金を使っていると考えられたからです。つまり親にとって は本を買って欲しかったのに、遊戯王のカードを買われてしまっているかもしれない わけ。

 国の道路整備事業のほとんどは、この道路特定財源でまかなわれていて、原則とし てこの財源は他の用途には使えないのです。したがって、道路特定財源という財布に 入っているお金の額によって、道路整備の規模が決まるわけです。

 先ほど挙げた、道路特定財源に該当するいくつかの税金は今年度の試算で国と地方 税の両方を合わせると約6兆円です。小泉さんは国債という国の借用証書の発行を30 兆円に抑えようとしているのですが、その20%にもあたるかなりの規模です。

 一方、この財源を使って出来たものは全国にたくさんあります。高速道路がいい例 でしょう。まったく利用されていないとは思いませんが、中には帰省シーズン以外は 車がほとんど走っていないという高速道路もたくさんあるらしいと聞くと、本当に有 効に使われているかどうかは疑問です。しかも、財源を使っているにもかかわらず、 利用する人は高速料金を払うのですから納得いきません。受益者負担が二重になって いるといえないでしょうか?

 そういう意味で小泉さんがこの財源の見なおしに目をつけたのは、生活者の目線で 物事を考えているということになります。そしてこの財源を有効に使うことでこれ以 上国の借金を不必要に増やさないことにも繋がるのです。借金を増やさないことは将 来の私たちの生活を今予想されている以上に苦しめないことになります。ぜひ、しっ かり検討して、国民が納得できる答えを出してもらいたいものです。そして、私たち もその結果をきちんと理解して、参議院選挙で意思表示をしたいものです。