【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆「株長者」も楽じゃない
○ 5/18 ○ 鹿野さち子(AFP)

 先日、毎年恒例の高額納税者(2000年度)が発表されました。

 各界別のランキング、歌手部門ではB’z の二人に次いで浜崎あゆみ、俳 優タレント部門ではとんねるずとダウンタウンにはさまれて松嶋菜々子など 今をときめく女性陣がきらりと光っていましたね。

 さて、同時に全国の上位高額納税者100人が発表されましたが、このう ち今年度も「株がらみの所得」で儲かった人が約半数だということ。株価が 低迷する中でも「株長者」は健在だということがわかりました。

 全国2位の三木谷氏は、23位の奥様と共に、昨年「楽天」の株式を店頭 公開した際に株を売却して一儲け。ユニクロの柳井氏は業績が絶好調で保有 自社株の配当が中心。そしてソフトバンクの孫さんは「ストックオプショ ン」による所得で昨年の16位からの上位躍進となったということです。

 今回は簡単にこの「ストックオプション制度」について説明します。

 「ストックオプション制度」というのは平成9年から日本で取り入れられ た比較的新しい報酬の形。企業が取締役や従業員など決まった人に対して、 将来あらかじめ決まった価格で自社の株式を購入することができる「権利」 を与えるというものです。

 例えば、○○株式会社というまだ上場していない企業があるとします。そ の会社で1株の時価が300円のときに、「いついつまでに400円で株式を購入 できる権利」を役員のAさんに与えます。まもなくAさんは会社から1株400円 で1万株を購入しました。

 そのうちAさんたちがガンバって働いた成果が現れ、会社は儲かり、店頭市 場に公開するとします。Aさんは株価が1,000円になった時点で「権利行使」 し、自社株を受け取ると同時に市場で売却。すると値上がり分の600万円の利 益(手数料、税金はかかりますが)を手にできるというシステムです。 (すでに上場している企業でも取り入れることが出来ます。)

 さてこのストックオプションのメリットは大きく次の2つです。

 @ストックオプションで株を買う権利を与えられた人は会社が儲かって株 価が上がると「2倍も3倍もおいしい」ワケで、会社のために「がんばろ う」という意欲を高める結果となる。そのため「ストックオプション導入し ている」ということで優秀な人材が集まりやすい会社になる。

 A会社は「がんばって成果を上げた人」に余分の報酬を与えるというのが スジですが、ストックオプションを利用するとその報酬分を株式市場から調 達することが出来る。

 今年は高額納税者100人のうち1割の10名がこの制度を利用して高所 得を得たということでした。

 これだけを見るといいことずくめのように思われますが、やはり「株は 株」。あくまでも会社が儲かって株価が上がらないと意味がありません。そ のためには一生懸命働かなくてはいけないわけで「ラクして大儲け」という ことにはならないのです。いつ権利を行使して与えられた株を売却する かというタイミングも大切です。

 ランキング入りした10人は全て系列の海外会社の株を売却したというこ とで、ストックオプションが従来型の日本企業で一般社員に根付くには、も う少し時間がかかりそうという印象でした。

 いずれにしても孫さんも三木谷さんも夜も寝ずに頭を働かせてビジネス し、いっぱい儲けていっぱい税金を払っているということだけは確か。 「グータラ寝るのが大好き」な私は、おそらく「ストックオプション」や 「自社株公開で一儲け」とは一生無縁。「上場株をセコセコ売買しお小遣 いを稼ぐ」のが精一杯でしょう。

 最後に株式公開と共に自分の給料を4割カットしたドンキホーテの安田社 長のコメントが気に入ってしまったので朝日新聞より転記します。

 『金持ちイメージで焼きもちを受けるのは恐ろしい。給料なんて安くてい い。金があっても何人分もメシを食えるわけじゃないんだから・・・。』

 いかにも「庶民の味方の安売り王」というコメントでした。しかしこれも 戦略か?!