【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆「株式買い上げ機構」は良策?愚策?
○ 4/20 ○ 深川悦子(AFP)

 「『株式買い上げ機構』って何やろう?」
 「あれってええことなん?悪いことなん?」

 この話題に対してこういう疑問をお持ちの方が多いようですね。 良いか悪いかは後に回すとして、今回はわかりづらいこの【株式 買い上げ機構】を解説してみようと思います。

 まず、株式買い上げ機構を説明する前に【持ち合い株】という言 葉を理解しておいていただきましょう。 これを理解できていないと話が「はぁ?」って感じだと思うので(笑)

 「持ち合い株」を簡単に説明すると・・・
 取引のある企業同士が

 ・お互いの株主安定
 (小口に気遣うことなく安定した経営が行え、企業買収からも身を守れる)
 ・資金調達の利便性
 (例えば、保有している企業が破綻して株が 紙切れにならないよう資金を融通しあう)

 などのために"お互いの企業の株を持ち合っている株"のことをさ しています。

 これだけを聞くと企業にとってはメリットが多いですよね。しか し、今は景気の悪化により資産圧縮のためにこの持ち合い株を市 場へ売りに出す企業が増えてきました。それはなぜか?今回の【 株式買い上げ機構】で問題になっている銀行に関していうならば 、不良債権の処理などで株式を売却しようとしているケースが多 いのです。いわゆる「持ち合い株の解消売り」ってやつですね。

 さて、ここからが【株式買い上げ機構】のお話。

 銀行に限らず、企業の「持ち合い株解消売り」が大量に行われる とどういうことになるのでしょうか?

(1)株価下落に拍車がかかる
 (需要と供給の原理で考えてみましょう。簡単ですよね。需要  があれば株価は上がり、なければ下がる。ただ、たくさん保有  しているからそれを売却しようとするだけなら、当然株価は下  がってしまいます。)
(2)市場に大量の株が出回った企業は乗っ取りの危機にさらされる

 どうですか?こう考えると大量に解消売りが出ると良くないこと が多いですよね。そこでこのような危機を避けるために今回は” 銀行に限定”しての【株式買い上げ機構】が政策としてあげられ ているのです。

 ポイントは”銀行に限定”というところ。そこで出てくるのが【 株式買い上げ機構】の別の目的です。

 現在、日本の銀行が資産として保有している株式は世界中の中で もかなり高い割合を占めています。そうなると、今回のように景 気が悪くなったときに、株価下落によって銀行自体の安全性が確 保されなくなってしまいます。 この政策は、市場の株価下落を抑えつつ銀行の株式保有率を下げ て経営の安全性を確保するためのものでもあるのです。これは、 橋本内閣の頃よくいわれていた「構造改革」にもつながってくる 内容ですね。 現に、この株式買い上げ機構に反対していた日銀も構造改革の一 環として行うのであれば支持するとも表明しています。

 でも、”株価下支え”と”構造改革”の何が違うんでしょう?こ の違いは、同じ政策でも根本的な考え方が違うのです。

 前者を重視すれば、単に市場の原理を無視するだけの「一時のカ ンフル剤」となり、後者を重視すれば、銀行が株価の変動で経営 の影響を受けるのを避けるための対策と見ることができるのです。 後者だとお金を預けている私たちも「なるほどっ!」って感じで すよね。

 ただし、この政策、現時点では民間資本を利用した機構を作ると いうことで話が進んでいるようですが、一案には「預金保険機構 」が株を買い上げるという話も出ているようです。そして、株価 が一気に下落した場合は政府保証により、税金が投入される可能 性があるのです。

 仮に、預金保険機構が株を買い上げた場合、後の株価下落のさい にも公的資金が投入される「税金の二重投入」というようなこと になるかもしれません。しかし、ここは国民の考え方一つ。ただ 自分たちが送った政治家だけを責めるのか、自分たちも痛み分け をする覚悟をするか・・・というところですね。国民の政治の無 関心が呼んだ結末ともいえるかもしれないですね。


 さて、最後に”この政策は良いか悪いか”という私なりの結論は ・・・。

  「やっぱり、良いも悪いも政策を使う人間の使い方次第って感じ (笑)」

 みなさんは、どうお考えになりますか?