【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆ブランド米を守れ!
○ 4/13 ○ 鹿野さち子(AFP)

 4月は新しい法律、制度が始まる節目となることが多いのですが、今月 からお米の表示が変わったのをご存じでしょうか?

 精米の表示は食糧法の「食糧庁精米表示基準」からJAS法の「玄米及 び精米品質表示基準」に基づく表示にすべて変わったのです。

 「なんじゃそれ!?」「“コシヒカリ”は“コシヒカリ”“あきたこま ち”は“あきたこまち”だし、うちには関係ないんじゃないの?」

 そんな風に思っていませんか?

 今まで「あきたこまち」を食べていた方、「あきたこまち」の値段が購 入するお店によって全く違っていたのを「へんだな?」と思ったことはあ りませんでしたか?

 また「安いほうがいいのよ!」とお米やさんよりも安いディスカウント ストアで買った「コシヒカリ」が妙にぱさぱさしていた・・・なんていう 経験はありませんか?

 これまでの食料庁表示基準は結構「いい加減」なものでした。「表示と 中身が一緒だよ」という証拠になる「認証マーク」も「お金を出せば買え た」ものだったそうです。(認証シールが売っていたんです!!)

 その証拠に世界中で年間3〜4万トンしか獲れない最高級とされる「魚 沼産コシヒカリ」が全国に20万トンも出回っていたといわれています。

 米の卸業者が「魚沼産ください」と仕入れに行き、「もうありません」 と言われると「じゃあ袋だけください」・・・そんな笑い話(笑えない 話)も日常で行われていたそうです。

 もうおわかりですね。売業者が錬金術ならぬ「錬“米”術」で魚沼産を 作ってしまった・・・ぶっちゃけた話、てきとうなブレンド米を「魚沼産 コシヒカリ」として売ることも可能だったのです。

 それが今回のJAS法の改正で統一した表示が義務づけられました。
 「JAS法に基づいた検査」を受けた米には「食糧庁の表示」にはなかった 産地(日本のどこで獲れたか)、品種(コシヒカリとかあきたこまちなど の名称)、産年(何年に獲れたか)、使用割合(何を何%使用している か)の表示をすることができるのです。そしてウソの表示をした者はマス コミ等に公表され、罰金を科せられます。

 このことが原因で昨今のようなデフレ国日本において今月から「魚沼産 コシヒカリ」が2割以上も値上がりしたというニュースを見ました。魚沼 産を好んで食べていた方にとってはなんともいたい出費です。

 一方で「表示を信用して買ってもいい」という安心感は消費者側にも与 えられたということになります。少なくとも「高いお金を出してブランド 米を買ったのに混ざりものの多いエセ魚沼産だった・・・」と言うことは なくなるでしょう。

 「魚沼産」の味が落ちて「ブランド」が信用力をなくし、消費者の「ブ ランド離れ」を引き起こさないためには産地としてもやむを得ない策だっ たのでしょう。

 しかしこれって私たちの舌が「ブランド」という“単に名前にくっつい ているもの”にダマされておいしいものを判断できなくなったと言うこと だと思いませんか? 本来ならばどんな無名のものでも自分の嗜好にあっ たものを選んで、その味と値段に納得していればそれでいいはずなんです が、いかに日本人が「ブランド」に弱いかということなのでしょう。

 そういえば依然として「ヴィトン」や「シャネル」の本店に行列を作る のは日本人ばかりということ。いくら経済が低迷しても日本人のブランド 志向は永遠なのかも知れません。

 ファッション業界で「ユニクロ」がこれだけ日本人に受け入れられたの も「低価格だけど高品質」という「ユニクロブランド」を作ってしまった からと言う「ファーストリテイリング」の社長談を聞いたことがありま す。

 「低価格だけど高品質」を売り物にしたブランド米ができてもいいん じゃないかしら・・・とも思うのですが・・・。

 最後にオイシイくごはんを食べるための5箇条を

 (1)信頼できるお米やさんで買おう
 (2)品質表示に注意しよう
 (3)精米して日の浅いものを買おう
 (4)オイシイお水で炊こう
 (5)ブランドに惑わされずに自分の好みの味を見つけよう