【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆インチキボンドにご用心
○ 3/16 ○ 鹿野さち子(AFP)

 「やすーい・・・。」ため息を付きながら日経平均株価を見守る日々が続いた今月は じめ、こんな新聞記事が目に留まりました。

 『株価指数リンク債取引 外資系証券を聴取』
 『他社株転換債 外資系証券 顧客に賠償』

 「他社株転換債(EB−エクスチェンジブルボンド・・・別名インチキボンド)」や 「株価指数リンク債」などは、株価が好調だった一昨年から昨年にかけて発行された いわゆる「仕組み債」。いずれも高度な先物技術を使った金融派生商品といわれるもの です。

 「 他社株転換債 」とは、例えば『ソニー』という会社の株が3ヶ月後など一定の 期間に1万4千円を下回らなかったら、「 4〜10%など普通の債券に比べて非常に 高い金利 」プラス「 ボーナス金利 」が支払われる。万が一下回った場合には『ソ ニー』の株で償還されるという債券です。

 また「 株価指数リンク債 」というのは個別の銘柄ではなく「日経平均株価」など の指数が、ある期間に一定の水準を下回らなかったら元本と高金利が得られ、下回って しまったら元本を大きく割り込んで償還されると言う仕組みです。「日経平均が13,000 円を下回らなかったら・・・」という設定が多かったそうです。

 発行ラッシュだった昨年はじめ、私も新聞広告を見たり、証券会社の人から紹介され たりして「株価指数リンク債」に心を奪われそうになりました。だって銀行に預けてい ても金利はほとんど付かないし5〜6%なんて夢の高金利時代の数字です。

 しかし「おいしい話」には必ず「裏」があるっていいます。いくら聞いても私の頭 じゃ「なんでこういう仕組みになるの?」 というのが理解できなかったため見送りま した。(頭が良くなくて助かりました。)

 さて、私たちが気をつけなくてはいけない点は2つあると思います。

 まずこれらの債券の設計、発行にかかわった証券会社のトレーダーが「ボーナス 金利を出さない方が自分たちには利益となるから」と満期の直前に「該当銘柄」を 売ったり、「日経平均」を下げようとまとまった売り注文を出した疑いがでてきたと いうことです。

 今回「他社株転換債」での不正が指摘され、投資家の間でも「仕組み債はマユツバ だ」ということはかなり浸透したと思います。

 しかし今後もこのように外国の会社が「高度な先物テクニックをつかった金融商品 」でリスクに不慣れな日本の投資家たちを巻き込むことが予想されます。

 「あなたの頭で理解できないものには手を出すな!」まずはこれが一つの教訓でしょ う。

 もう一つ、気をつけておかなければならないことは「投資家達はどのような資金で これらの債券に投資したか?」 ということです。

 リスクのあるものに投資しても良い「余裕資金」とある程度使う時期と使い道が決 まった「必要資金」を明確にさせて「それぞれのお金に役割分担」をさせて運用 している人ならこういう中途半端な性格のものには手を出さなかったと思います。

 ハイリスクでもリターンが欲しい人はこんな「羊の皮をかぶったオオカミ債券」では なく「株」そのものを買えば良かったのです。反対に絶対に損をしたくない資金は公社 債投信なり国債なりで運用すればよかったのです。

 「リスク」と「リターン」はトレードオフ(両立不可能)といいます。どんな高度な 技術が海外から入ってきてもこの原則はくつがえせないようです。

 「資金の性格と金融商品の相性を見きわめる目を持たなくてはいけない」
このことも今回の報道が教えてくれる大切な教訓だと感じました。


★ EBの検証 http://www.ceres.dti.ne.jp/~poirot/EB.htm 
 個人投資家のページですがこのサイトが「他社株転換債」についてわかりやすく説明 してくれています。