【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆「公定歩合引き下げ」とかけて「聖子の離婚」と解く
○ 2/16 ○ 鹿野さち子(AFP)

 先週末、うたた寝をしながら夜のニュースを見ていたら、トップであの速水さんが 写ってる・・・。 ボーーっと見ていると「5年5ヶ月ぶり0.35%に・・・」という解説。

 それでもまだ何が起こったかわからなかった私。次のアナウンサーの言葉で「公定歩 合の引き下げ」を知りました。まさに「寝耳に水」といった感じでした。

 「公定歩合」ってなんだか「ごぶさた」な言葉です。でもみなさん中学校や高校の社 会科で習っているはず。

 「公定歩合」とは「日銀が町の銀行にお金を貸し出すときの金利」でした。 日銀は公定歩合を上げたり下げたりしてお金の出回る量を調節し、景気の見張り番をし ているんでしたよね。つまり景気が良くてお金がいっぱい出回っているときは公定歩合 を上げる、反対に今のように景気が悪くてお金がうまく循環しないときは公定歩合を下 げて、お金が出回るようにするんでした。

 中学校の勉強にちょっと付け加えると、このときの「貸し出し」は有担保の貸し出し です。日銀はちゃんと町の銀行から担保をとっていたのです。

 しかし長引く不況で、銀行をはじめとした企業は「担保を出して金利も払ってお金を 借りる」よりも、貸しているお金のうち返してもらえるものをがっちり回収して、売れ るものを売って食いつなごう・・・となってきます。家庭だったらきっちり貯金して節 約して・・・というところです。

 金利が低くなってもあまり銀行が借りないワケですから、日銀は銀行の持っている国 債を買い上げるという「公開市場操作」でお金を送り出す体制に入りました。

 そんなこんなで、日銀が公定歩合で銀行に貸し出す「日銀貸し出し」は激減し「公定 歩合」は0.5%という超低水準でもほとんど意味をなさなくなってきていました。

 では、「意味なしになってしまった公定歩合」を今さら0.15%下げるっていった い・・・?

 しかしちゃんと理由はありました。「ロンバート型貸し出し」という新制度の導入で す。

これは「町の銀行」でお金を引き出したい人が殺到したりして、資金繰りがヤバく なった場合、日銀に「貸してちょうだい」と申し込めば、公定歩合でお金を貸し出して くれるという制度です。

 「公定歩合」が金利の上限になりますから、どんな金融危機が起きても銀行は0.3 5%以上の金利は払わなくても資金が調達できるということです。

 「資金繰りに困っている銀行」にとっては何ともありがたい話なのです。

 しかしこれもあくまで「貸し出し」で、やはり金利も付くし、担保も必要。「困った 銀行さん」にとってのちょっとした「延命措置」になるのかもしれませんが、これで世 の中にお金がスムースに流れ出すとはちょっと考えられないような気がしました。

 銀行にとってはちょっとした「いいニュース」だったのですが私たちにとってはどう でしょうか?

 「預金金利は一斉に下がっちゃうのかな?」「住宅ローンの金利は・・・?」

 そのあたりの影響はまだはっきりとしないところ。日銀が金融緩和に動いたというこ とで他の市場金利が下がるなら預貯金の金利も下がると予想されますが、直接の影響は ないようです。

 もし預金金利が下がっても「50歩100歩。すずめの涙に変わりなし」。 住宅ローン金利が下がっても「いまさら・・・」というところでしょうか。

 「公定歩合引き下げ」はまるで「松田聖子の離婚」のように「びっくりしたけど、わ たしたちにとっては関係ない。どうぞ勝手にやってね。」というニュースに思いまし た。
 (でも聖子ちゃんはもっと短い2年でしたね。)