【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆ジョン・レノンと中東和平
○ 10/20 ○ 深川悦子(AFP)

 10/9、東京にジョン・レノン博物館がオープンしました。この日は、オノ ・ヨーコの来日もあり、多くの人々が博物館に足をはこんだみたいですね。 私は大阪に住んでいるので、今すぐにいくことができないのですが、ジョン・ レノンって結構好きなんですよ。

 ちょっと話が博物館からそれてしまいますが、私がジョン・レノンで思い出す のは「イマジン」と言う曲。 私は昔、某テレビ局の歌番組で3人の女性が「イマジン」を歌っているのを見 て子供ながらに衝撃をうけたことがありました。(もちろんテロップに流れる 日本語訳を見ての話ですが(笑))


 「国境も宗教もなければ、戦う必要なんてなくなるんだよ」


 ジョン様、あなたのおっしゃるとおりです!  ただ、ここで指している「宗教」とは「何かを信じること」ではなく「極端に かたよった一つの信心に対する考え方」というふうに解釈した方が正しいかも しれませんね。

 さて、日本がジョン・レノン博物館のニュースを取りざたしていたころ、裏で は中東和平に関するニュースも流れていました。一方では平和をとなえたジョ ン・レノン。もう一方では民族・宗教からの対立による紛争。まったく違うよ うで違わない話題。 私は戦争と平和という点において、関連性のある話題に思えてしまいました。


 それではなぜ、中東はこのような紛争を続けているのでしょうか?


 今回のイスラエルVSパレスチナ自治政府(PLO)の紛争は、1947年、 国連がパレスチナに対する領土分割案を提案したことにたんをはっしています。

 現在イスラエルが首都と主張しているエルサレムには、1つの場所に3つの宗 教の聖地(「嘆きの壁(ユダヤ教)」「聖墳墓教会(キリスト教)」「岩のド ーム(イスラム教)」)が集まっています。  それがどうして戦争になるの?各宗教で仲良く聖地を訪問すればいいんじゃな いの?多分、日本人の多くはそういう風に考えると思います。 確かにそれがうまくいけば何も問題は起こらないですよね。

 もともと聖地エルサレムに関しては、様々な問題が紀元前からありましたので、 根を深く追求していけば簡単に解決する民族・宗教問題ではありません。  お正月には神社に参拝し、クリスマスには聖歌を歌う多数の日本人からは想像 しかねる話ですよね。

 さて、問題となった国連が提案する領土分割案は、聖地エルサレムが誰の領土 でもないかわりに、ユダヤ人に対する領土の割合を実際所有していた割合の7 %に対し57%の領土をわりあてたことからはじまりました。  もしかすると、第二次世界大戦後ホロコーストなどで人種差別をまともにうけ たユダヤ人への配慮があったのかもしれません。

 まぁ、エルサレムが誰の領土でもないという点は良しとしましょう。  しかし、この提案ではイスラエル建国前からこの地域に住んでいた現在パレス チナ人と呼ばれているアラブ系の人々が領土を取られたも同然と怒るのも無理 はないですよね。  これじゃぁまるで、世界中がパレスチナ人をないがしろにしたようなものです から。

 その上、イスラエルが1948年に建国宣言をしたさいには、首都を「テルア ビブ」と制定していたのですが、1967年の第三次中東戦争でエルサレムの 東半分を制圧してから「エルサレム」を首都と制定してしまいました。  これがいけなかった!これじゃぁ侵略以外のなにものでもありませんよね。

 イスラエルがエルサレムを独占しようとしなければ、ここまで長引く紛争は回 避できたのかもしれません。 しかし、現在では、イスラエルVSパレスチナ 自治政府という縮図だけでなく、互いの国内で強行派と和平派との対立という 妙な現象が、紛争を長引かせているもう一つの原因であることもさけることが できない事実なのです。

 以前、なんとか中東和平交渉を成立させ、ノーベル平和賞を受賞したイスラエ ルのラビン元首相も同胞の強行派の凶弾によって命を絶たれてしまいました。  これでまた和平は振り出しに戻ってしまいました。  中東に関しては、他にも様々な要因があるのですが、戦いが人を狂わせてしま うということだけは確かなように思います。

 それに、紛争は何も中東に限った話ではありません。

 ブラッド・ピットが「デビル」という映画で主演を演じたイギリス政府VS北 アイルランド共和軍(IRA)の紛争やNATO軍VSユーゴ紛争など、平和 な日本では想像もできない生活を送っている人たちが、世界にはたくさんいる のです。

 確かに、人間の歴史をふりかえってみると戦争と侵略の繰り返しです。  しかし、これらの出来事の裏には、必ず人種や宗教による人間の位置づけがあ るように思います。どの人種が偉くて、どの宗教が一番ということはないはず ですよね。同じ人間なんですから…。

 それでは、これらの問題はどのように解決していけばよいのでしょうか。

 正直なところ、私たちのような一般人では簡単に解決できる問題ではありませ ん。  しかし、視点をもっと身近にすればどうでしょう?相手を思いやる気持ち。お 互いが相手の立場に立って考える。この人間として当然ともいえる考え方が今 の人類に欠如されてはいないでしょうか。

 今回取り上げた題材はかなり大きな問題ではありますが、もとは小さなことか ら改善できることかもしれません。

 まずは自分の姿勢から。

 そして、これからの社会を形成していく子供達に、この大切さを伝えていくこ とが私たち大人の使命だと思います。

 日本がまた戦争という同じ過ちを繰り返さないためにも…。