【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆マイライン−脱NTT、登録NTT、それとも、そのままNTT?
○ 1/19 ○ 西島直子(AFP)

 「マイライン」。最近、テレビから流れてくる音で多くの人の記憶の中にイン プットされた言葉のひとつではないでしょうか。

 1月10日から申し込みが開始されたこのサービス、去年までは「いったい 何なんだろう?」と思ってサザエさんのCMを見ていた方も、最近テレビでも 新聞でも取り上げられているので、だいぶ分かってきていらっしゃることでしょう。 そうです、「電話会社選択サービス」のことなのです。
(詳しくは、http://www.tca.or.jp/myline をごらんください。)

 あなたは電話をかけるときに、相手の電話番号の前に3、4ケタの番号(識 別番号)を押したりしていますか?  電話をかける相手先によって、識別番号を使い分けているという方は、かなり 頑張って節約していますね。反対に、識別番号なんて覚えられないし、面倒く さいからそのままダイアルしてしまうという方も多いでしょう。

 このマイラインは、電話会社ごとの識別番号を押すことなく、あらかじめ登 録しておいた電話会社を利用することができる、というものの、これが、パン フレットに書いてある「電話をもっと便利にご利用いただくために導入された 新しいサービス」?

 よく考えてみると、利用者側からすれば、3、4ケタの識別番号を押さなく てもいいようになるだけ。特別に別の電話会社を利用したいケースでは、今ま でと同じように、識別番号を押してから、相手の電話番号を続けて押すことに なります。
 NTT以外の利用者にとって、最初に識別番号を押す面倒がなくなったり、 識別番号を押すくらいならNTTでいいやという利用者にとって多少メリット があるくらいでしょうか。

 どうせなら、全部登録しておいて電話をかけるときに自動的に一番安いとこ ろが利用できるサービスなんてあればいいですねぇ。(笑)  今現在はある会社が安くても、1年後には別の会社が安くなっているかもし れないですから。

 利用者側からするとそれほどたいしたことのない新しいサービスですが、電 話会社はこの願ってもないチャンスの波に乗ろうと必死になっています。 永瀬正敏や松坂慶子、明石家さんまなどのタレントの起用、新聞一面への広 告の掲載などの広告宣伝合戦を見れば、その意気込みの凄さがわかると思いま す。

 これは、NTT以外の電話会社側からすれば、ひとつに識別番号を意識しな くてよいNTTが最も有利ということがあって、とても公平な競争とはいえな い現状を変えることができるチャンスだからです。 また、利用者の利便性を高めるために、NTT以外の電話会社を優先的に利用 できるためのアダプタの開発にかなりコストがかかるという不利な面もあわせ て改善されるのです。

 このことから、マイラインはどちらかといえば電話会社の公平な競争のため に導入されたように見えますが、巡り巡って市内電話サービスの料金が下がっ たり、割引サービスが色々登場するという恩恵が受けられたことが、生活者に とっては大きな収穫ですね。

 さて、マイラインは電話会社を選ぶ選挙とも言われていますが、その勝負は 登録・変更が無料の10月31日まで。その後の登録・変更は有料で800円 ですから、変更をしてまで電話料金が安くなるサービスが登場しない限り、そ こで勝敗が決まりそうです。

 なお、登録しないままですと「国際電話」をのぞき今まで通り識別番号のな かったNTTグループを利用することに自動的になってしまいます。 選挙に例えれば、投票に行かなかった人の一票はすべて現与党のもののような 感じでしょうか。
 確かに、ある日を境に急に識別番号を押さないと電話がかけられなくなった ら、パニックを引き起こすことにもなり兼ねませんが、NTTは美味しいです ね。


 こんなことを踏まえて、問題なのは、自分の場合どの電話会社を選択すれば 一番お得なのか、です。
競争が激しくなり、各社様々なサービスを打ち出してきているので、保険商品 の比較じゃないですが、そう簡単にはいかないようです。「昼間3分間の距離 別の電話料金」といったような条件つきでしたら、同じ土俵で比べることはで きますが、各社のサービスを含めると、複雑な条件が絡みあうため、すべてを 理解して整理するのは至難のワザ。

 「誰か教えてくれないかなぁ」というのが本音ですよね?
そういうことからか、マイラインセンターへ「どこが一番安いのか」という問 い合わせが殺到しているようですが、もちろんそんなことは教えてはくれませ ん。

 そこで、これを機会にじっくりパンフレットを比較検討してみるのが、人生 につきものの様々なモノを見極める「選択の目」を養うのにもよいのでしょう が、時間がない方はまず電話料金を計算してくれるフリーソフトでチェックし てみるのもひとつの手ですね。 正確には細かいサービスまで加味されているかどうか確認する必要があります が、数社に絞込む目安としてなど、一度試してみる価値はありそうです。


 『脱NTT』『登録NTT』にするか決めるのはあなた自身です。

 まだ先と思っていると意外に早くその日はやってくるものですから、忘れな いうちにベターな選択をまずやっておきましょう! その後、ネットで情報を集めたり、雑誌の特集などを見たりして、登録が有料 になる前にもう一度再検討してみるというのが賢い消費者です。
 面倒くさいから『そのままNTT』では、お得な電話料金・サービス登場にス トップがかかりかねませんから。