【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆E−ジャパンって何?
○ 9/29 ○ 栄田育子(CFP)

 先日急に登場した「IT受講券」。
 「初歩的なインターネットでのホームページの閲覧、電子メールのやり取り」 などを教えてもらうときに使える券で、6000円を限度に支給すると言う内容でし たが、与野党が目いっぱい批判した結果、見送られることになりました。

 森首相は、景気回復政策の一つにIT分野を積極的に取り入れようとしています。  ソニーの出井さんやソフトバンクの孫さんなどを呼んで開いているIT戦略会議 は、「日本型IT社会」の実現に向けて年内にIT国家戦略をまとめることを決め たそうです。この会議で決められた戦略が実現されると「E-ジャパン」になるわ けですが、これまたさっぱり中身が分からない言葉ですね。

 というわけで今日は栄田の「これは何?」シリーズ第3弾、「E-ジャパンって 何?」をお送りします。

 「E-ジャパン」は9/21の森首相の所信表明演説で語られた言葉で、第一の目標 は5年以内にアメリカを上回る高速インターネット大国にすることだそうです。

具体的には
(1)超高速インターネット網への集中投資
(2)電子商取引の実現を阻む規制の撤廃と知的財産権などに関する新しいルールの整備
(3)電子政府の推進
(4)人材の育成
という4つの大きな戦略が挙げられています。

 4大戦略を噛み砕いて言うと
 「絵がいっぱいのホームページもサクサク見れて、おうちにいながらお買い物 も出来るし、お役所へ行かなくても住民票などがもらえるし、確定申告もできる。 それに、パソコン使っていて分からないことはすぐに誰かに教えてもらえる」 という感じになるでしょうか。

 IT業界で7年半働いてきた栄田は、この4大戦略のどれもが諸外国に比べて劣 っているとずーっと前から感じていました。先日朝日新聞の投書欄に、アメリカ から日本に帰国してから、アメリカにいたときと同じようにインターネットに接 続していたら、電話代が25,000円以上で請求されて驚いたという話が掲載されて いました。ちなみにアメリカでは一日中つなぎっぱなしでも5000円以下だったそ うです。これは(1)の戦略に繋がる話ですが、要は日本の通信費用はものすご く高いってことですね。

 (2)はIT戦略会議での報告が参考になるでしょう。現在日本には、電子商取 引の阻害要因となっている規制が733件あり、それらを定めている法律が124本あ るそうです。ルールを整備すると言うことは、この124本の法律を見なおす必要 があるということ。法律を決めるのが極端に遅い日本ではいつまで掛かるのか わかりません。

 (3)は完全に実現した国はまだ無いかもしれませんが、それにしても日本の お役人の「紙とはんこ好き」には外国人はみんな驚きます。挙句の果てに、それ らの書類をしまう場所が足りなくなってきたと、税金を使って倉庫を借りていた りするケースもあるわけですから、税金の使われ方がどうも間違っていますよね?

 最後に(4)ですが、最近外国人のIT技術者が日本では珍しくなくなってきま した。国内での人材不足を外国人で補っているわけです。かたや、失業者が増え ているという現実の解釈に苦しみます。雇用のアンマッチという言葉で表現され たりしますね。

 アメリカを超えれるかどうかは別にしてぜひ実現してもらいたい、この「E-ジ ャパン」。でも疑問がいくつかあります。

 ・5年以内に実現したいみたいだけれど、森政権は実現まで続くの?
 ・仮に実現する前に森政権が終わったら、次の人はきちんと引き継いでくれるの?
 ・予算はどこから出るの? たしか日本って世界一の借金国だったっけ

 どのようにこの4大戦略を実行するのか私たち国民は監視して行く必要があり ます。
 でも何よりも栄田が不安なのは、森首相は首相就任当時「IT」を「イット」と 読んだらしいということ。こんな人にやらせて大丈夫かしら?