【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆IPOって何?
○ 9/01 ○ 栄田育子(CFP)

突然ですが、こちらをご覧になったことはありますか?
http://money.nikkei.co.jp/money/ipo/index.cfm

このサイトは最近よく耳にする新規株式公開の情報を提供しているのです。

新規株式公開、漢字で書くと名前が長いんでIPO(アイ・ピー・オー)と よく呼びますが、言葉はよく耳にするけれどいまいち実感が湧かない方が 多いのではないでしょうか?そこで、今日は栄田の「これは何?」シリーズ (?!)第2弾として、IPOを解説いたします。

IPOとは "Initial Public Offering" の略です。直訳すると「最初におおやけ に提供する」と言った意味になるでしょうか。
野村證券(http://www.nomura.co.jp/)の証券用語集によると、

「株式会社において、オーナーやその家族など少数の特定株主のみが株式を保有 して株式の自由な流通ができない状態から、不特定多数の投資家が参加する市 場で株式の売買が行われるように、市場に新たに株式を供給することを言う。」
そうです。
ごく一部の人が持っていた株式をたくさんの人が買えるようにするってことですね。

さて、始めに書いたサイトを見るとたくさんの会社がIPOをするのが分かりますが、 どんな会社も何か目的を持ってIPOをしようとしているはずです。では、その目的 は何でしょう?

答えは2つあります。

1)たくさんの人に株式を買ってもらうことによって会社に必要なお金を直接 調達できる。
2)会社がたくさんの人に知られることになるので、知名度が上がりビジネスに 有益である。

1)は直接金融というお金の調達の方法です。銀行などからお金を借りずに、直接 会社に必要なお金を得ることができるひとつの方法が株式公開なのです。株式を公 開するとその株式の値段が上がったり下がったりしますが、運良く値段が上がれば 銀行に頼み込んでお金を借りなくても、会社で使えるお金は増えるわけです。

2)は知名度が上がることで間接的に会社のビジネスに役立つことが多いでしょう。 たとえば、その会社で働きたいと思う優秀な人が集まってくるかもしれないし、その 会社の商品やサービスを買ってくれる人や会社が増えると考えられます。

この2つの目的を読むと、なんだかいいことばかりでどんな会社もIPOを目指すのが よく分かりますよね。

IPOをする会社が増えたことは、我々にもひとつメリットをもたらしてくれました。 かつては証券会社の窓口に行かないと、この新規公開株を買うことはできなかった のですが、最近この新規公開株の販売を扱うネット証券会社が増えたのです。 E*トレード証券、DLJ-SFGダイレクト証券をはじめ、あの野村證券も取り扱いを 始めました。新規公開株投資についての敷居がずいぶん低くなったわけです。 歓迎すべきことでしょう。

でも、いいことばかりではありません。

まず、IPOした会社は会社の状況を詳細に把握できるような資料を年に数回作って 投資してくれた人たちに見せなければいけないのです。これは結構大変な作業なの ですが、場合によっては年に4回もこの作業をやらなければならず、この義務を怠る とせっかくがんばってIPOさせたのに、その権利を失うこともあるのです。

そして、IPOされた株を買った人たち、もちろん私たち個人投資家も含まれますが、 買ったものは株ですから値下がりする可能性があります。

新規公開株が人気者になったのは、たいていの会社が値上がりしたからですが、 最近はそうでもありません。銘柄によってはちょっと値上がりしたあと急激に 値を下げることもあり、一時期言われつつあった「新規公開株は儲かる」は すでに過去のものになっています。

そこで、今日の結論です。

1)IPOをすることは会社にとって、いいことも悪いこともある。
2)当然、投資する私たちにも、いいことも悪いこともある。
3)でも、投資しやすくなったことは事実。株主になれば、株主総会で自分の意見を 伝えることも可能だから、自分が気に入っている会社が手ごろな値段で買えそうなら チャレンジしてみるのも悪くない。

でも、もちろんこれは "投資" です。
あくまで、余裕資金で投資してね! というのはいつものお約束ですよ。