【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆「ゼロ金利」いざ解除!・・・でどうなる?
○ 8/18 ○ 鹿野さち子(AFP)

 先月のコラムで栄田さんが取り上げた「ゼロ金利」がすったもんだのあげく、とうと う解除されました。

 予想通り「無担保翌日もの」といわれる金融機関同士のお金のやりとり金利が実質ゼ ロの状態から0.25パーセントとなりました。

 これによって、一年モノの定期預金金利(300万円未満)が現在の0.12%から0.15% 程度になりました。
「アリの涙」の預金金利が「雀の涙」くらいにはなりますが、低金利には変わりないと 考えて良さそうです。

 ちなみに金融資産200万円の家庭が定期預金の一年モノを利用しているとすれば、年 間の利息がどれだけ増えるのかな? と数字には弱い私ですが計算してみました。

 結果、マル優を使っている方で年間600円、普通に課税される家庭では480円程度。
「平日のマクドナルドで普通のハンバーガーとチーズバーガー家族分買って、飲み物が 買えない・・・。」といったところです。全く昼ご飯にもなりません。

 せめて、回転すし家族でお腹いっぱい食べられるくらいは期待していたのに・・・。 少しがっかりです。

 一方、7月14日の栄田さんのコラムに書かれていたとおり、今回の金利上昇の影響を 大きく受けるのは「預ける金利」でなく「借りる金利」なのです。来月には現在の住宅 ローン年利2.375%が2.5%程度に上昇する見通しです。

 そうなると、例えば住宅ローンを変動金利で2000万円借りている家庭は、今までは年 間47万5000円で済んでいた利息が50万円の利息となり、2万5千円の負担増になってしま います。

 これは痛いですよね。5人家族での外食に換算すると1人5千円分。焼肉かフランス 料理のランチ1回分をガマン! ということになります。

 そしてもっと大変なのが、「いっぱいお金を借りている企業」なのです。

 ちなみに「ゼロ金利を強行した」といわれている、日銀総裁の速水優(ハヤミマサ ル)さんが昔社長をしていた日商岩井という商社は、本年度の3月決算時で約1兆7千億 円もの有利子負債があります。

 仮に0.01%だけ金利が上昇したとすると、利息の負担が

   1700,000,000,000円(1兆7千億円)×0.01%=170,000,000円 (1億7千万円)
 たった0.01%の上昇でも年間で「イチオクナナセンマンエン」も金利をたくさん払わ なければいけなくなるのです。

 シロウト目で見ても「大丈夫?」と思ってしまいます。

 ただ「ゼロ金利」という一種の緊急対策を長々と続けるのにも問題があり、最悪の状 況は脱したから緊急対策は解除・・・という速水さんの主張ももっともという気もしま す。

 今後「金利を余分に払ってでもガンバって挽回できる企業」と「『そごう』のよう に一度整理して出直す企業や、永遠に挽回不可能で『ご愁傷さま』となる企業」とに 明暗が分かれるのは必至と言われています。

 要するに、日本企業の淘汰はこれからが本番、ということなんでしょう。


 ★日商岩井を例に出してすみません。悪気はなかったので許してね。もっと深刻なの はゼネコンさんですよね。(^^;;

 ★経済ニュースを読むとき、「兆」とか「億」となると、もうどれくらいの額か想像 もつかなくなります。たまにはゼロを並べて表示してみると実感が・・・わきませんで したか?