【主婦FPの視点】経済ニュースなんてコワくない!


◆あなたも「税制」づくりに参加できる
○ 7/21 ○ 高原育代(AFP)

7月15日付の新聞で「政府税制調査会 中期答申」が発表されていました。
セイフゼイセイチョウサカイ、チュウキトウシン…。

「うわあっ、難しそう。もう読むのやめた!」という方、ちょっと待ってくだ さい。名前は難しそうですが、その中には私たちの毎日の暮らしに関わる大切 なことが書かれているのです。

みなさんは「税金」に対してどんな感情をお持ちでしょうか?

「とられる」「できれば払いたくない」と思っている方、多いですよね。
せっかく一生懸命働いたお給料、税金さえひかれなければもっと手取りは多い はずなのに…そう思いますよね。

でも税金は、個人や企業ではカバーしきれない重要なこと(治安や福祉や… あっ政治も)に使われる重要なお金です。

その大切な税金を、誰にどうやって払ってもらうのかというしくみが「税制」。
この「税制」というしくみについて、「答申」では色々とふれられています。

例えば、コンビニで400円のお弁当を買うと、もれなく20円付いてくる例のヤツ… そう、消費税。この消費税率の引き上げが、今後検討課題に入ってくるかもしれ ないというようなことが、この「答申」の中には書かれています。
また、所得税(個人が儲けたお金から取る税)を今以上に減らすのは無理だろう、 というようなこともありました。


ある日突然、税制がガラリと変わる、ということはありません。 というのは、3年に1回の割合でこの「中期答申」がまとめられ、中長期の税制 を展望したものが報告されるからです。

今回のテーマは「21世紀初めの税制のあり方」ということで、首相に提出された この答申、400ページ近くもあるそうです。ですから、日経新聞の編集委員の方で すら「通読するのに骨が折れる」と書かれている代物です。私なんかにはとても 全部読めそうもありませんので、新聞に載っていた、要旨に目を通してみました。


まず、答申の要旨の題名には、こう書かれています。

「わが国税制の現状と課題 ── 二十一世紀に向けた国民の参加と選択」

このサブタイトルを見て、みなさんはどう思われますか?
「国民の参加と選択」というからには、国民のひとりひとりが税金のこと、まず 考えなくてはいけないということではないでしょうか。


そして、この答申の要旨をさらに簡単にまとめると、

「少子・高齢化時代を控えて、今のままの税制では無理がある。具体的に財政構造 改革をしていかなければならない」

ということでした。

いきなり「ショウシコウレイカジダイ」だの、「ザイセイコーゾーカイカク」だの と言われても…と思いますので、「家計」に置きかえて考えてみましょう。

家計が苦しくて今の状態をどうにかしたいというとき、どんな対策をとりますか? 赤字であるということは、支出の方が収入よりも多いということですよね。
赤字を改善するには、支出をへらすか収入をふやすしかありません。

普通はまず節約、つまりムダな支出を減らす努力をすることを考える人が多いは ずです。でも、それには今の暮らしのレベルを落とす努力が必要となります。
その一方で、もし収入を増やす方法があれば、赤字の改善は楽になりますね。

でも、現実的にはなかなか収入を増やす手だてを持っている人は少ないはず。
少しぐらい、残業をがんばって増やしてみたとしても、節約をする努力を何も しなければどうでしょう。赤字を減らすのはムリですよね。

国の家計、つまり財政(ざいせい)だって同じこと。

今、日本の国の家計は赤字だらけです。出ていくお金である「歳出」(さいしゅ つ)の方が、入ってくるお金である「歳入」(さいにゅう)より大きいからです。 この状態を良くするためには、歳出を減らすか、歳入を増やすか、2つしかあり ません。21世紀に向けて、その選択が迫られているのです。

歳入を増やす大きな手段として「増税」という方法があります。
でも、国民ひとりひとりにとっては、これは最後の手段にして欲しいと思っていま すよね。それなら、歳出を減らす努力が求められることは仕方がありません。
そうでなければ、国の赤字を減らしていくことはできないのですから。


答申の中でも、消費税の%を今よりさらに上げることについては、国民的な議論 によって検討すべきこととされています。

−5%でも十分苦しいのに、なぜさらに上げる必要があるのか。
−食品など特定のものについては税率を軽くできないのか。
−消費税が使われる目的を限定しないのか。

など、その税制づくりのプロセスにみんなが関心をもって、議論を高めることを 求められているのです。

あなたが誰かのリクエストに応えて料理をすることを想像してください。
最初は「よくわからないから、適当に味付けしといて」と言っていた人が、でき あがった料理に対して「なんでこんなひどい味付けするんだ!」と怒ったら、あ なたはどう思いますか?

過程に無関心でいて、結論として消費税率が上がるとなったときに文句をいう人 も、それと同じだと思います。でも、そもそも「さっぱりわからないから、無関 心になってしまう」という場合は、仕方ないとも言えますね。

「納得して払える『税制』づくり」の過程に参加するためにも、まずはお料理の 基本を習うような気持ちで、税金について少しずつ学んでみませんか?